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「間違いを起こさなかった人が偉くなる」社会のままでいい?

2009年5月16日(土)

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 私の父は銀行員でした。子供の頃に、何回も聞かされた父の若き行員時代の昔話があります。勤務先の支店の1日の営業時間が終了した後に残高を照らし合わせる作業があるが、勘定が1円でも合わなかったら、全員が残業して最初から数え直して精算するのだと。私は、自分が大人になったら、絶対に銀行では仕事をしたくないなと思いました。

「どんな人が銀行で偉くなるか知っているかい?」

 米国で育ち、大学を卒業した後に日本へ帰国しました。副職で英会話を大学生に教えていましたが、勉強時間が終了すると、その家のお母さんがビールを出してくれて、会話が(日本語で)弾みました。時々、その家のお父さんも一緒にビールを飲みましたが、彼も銀行員でした。顔を真っ赤にして、笑顔で私に問いかけます。「君はどのような人が銀行で偉くなるか知っているかい?」。

 新規の貸し出しを増やし、収益を上げることかなと思いました。ところが彼の答えは想定外でした。

 「なんとか間違いを起こさなかった奴らが偉くなるんだよ」

 しばらく私は言葉が出ませんでした。大学を卒業したばかりで何も知らない未熟者でありましたが、1つだけ確信しました。絶対に銀行には勤めたくないと。

前回の英文記事※1をご参照ください。

 数年後、私は投資銀行に勤めていました。日本国債の金融市場での仕事でしたから、支店で1円単位のお金を数える必要はありませんでしたが、毎日、銭単位(円の百分の一)に集中する仕事でした。日本の銀行に勤めた経験はありませんが、長年、仕事の相手の多くが銀行員でした。

 優秀な方々ばかりで、世界で活躍できるような人材も少なくありません。ただ、特に最近は、このような優秀な人材を誇る日本の銀行が、世界的に競争力があるとは評価されないようです。この矛盾の原因は何でしょうか。日本初の銀行を創立した渋沢栄一の言葉に、その答えがあるように思います。

 「従来の事業を大事に保守しあるいは過失失敗を恐れて、ためらう弱い気力では到底国運のあとへひく」

前回の英文記事※2をご参照ください。

コメント5件コメント/レビュー

「間違いを起こさない」というのは、目標ではなく最低ラインではないでしょうか。正確には、「間違いを起こさなかった人」の中で、「業績に貢献した人が偉くなる」という事でしょう。金融の世界では、1回でも事故のある人は、ブラックリスト扱い、2回目の事故で取引停止となり名実ともにダメ人間扱いです。金融業で事故を起こした人間は理由を問わず要注意人物です。ついうっかりとか、電車が遅れたとかいうのも全く関係ありません。事故を起こしたという事実だけが記録に残り、その記録は一生消えないぐらい厳しいものであるはずです。金融業はそれだけ厳しい世界であるだけに、「間違いを起こさない」というのは最低限のハードルではありますが、その上でリスクを取るという事は、それだけ事故の可能性が高くなるという事です。リーマンの例を出すまでもなく、金融業は1度のミスが致命傷になる可能性は充分にあるという事であり、人様の大事なお金を扱っている銀行にミスは許されないという事を軽く考えている経営者が会社をつぶすのだと思います。銀行というのは、リスクを取って利益を追求しなくとも充分儲かる職業であるという事を理解するべきです。(2009/05/19)

「渋澤 健の資本主義と道徳」のバックナンバー

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「間違いを起こさない」というのは、目標ではなく最低ラインではないでしょうか。正確には、「間違いを起こさなかった人」の中で、「業績に貢献した人が偉くなる」という事でしょう。金融の世界では、1回でも事故のある人は、ブラックリスト扱い、2回目の事故で取引停止となり名実ともにダメ人間扱いです。金融業で事故を起こした人間は理由を問わず要注意人物です。ついうっかりとか、電車が遅れたとかいうのも全く関係ありません。事故を起こしたという事実だけが記録に残り、その記録は一生消えないぐらい厳しいものであるはずです。金融業はそれだけ厳しい世界であるだけに、「間違いを起こさない」というのは最低限のハードルではありますが、その上でリスクを取るという事は、それだけ事故の可能性が高くなるという事です。リーマンの例を出すまでもなく、金融業は1度のミスが致命傷になる可能性は充分にあるという事であり、人様の大事なお金を扱っている銀行にミスは許されないという事を軽く考えている経営者が会社をつぶすのだと思います。銀行というのは、リスクを取って利益を追求しなくとも充分儲かる職業であるという事を理解するべきです。(2009/05/19)

米国の投資銀行で、「盗人に追い銭」のような状況になっているのを見聞きするにつけ、日本の金融機関の「間違いを起こさなかった人が偉くなる」のは正しい指針としか思えません。そりゃ「追い銭」を貰うほうとしては、日本のやり方は息苦しいかもしれませんね。(2009/05/18)

渋沢健様のコラムを拝見致しました。題名『「間違いを起こさなかった人が偉くなる」社会のままでいい?』私がとある日本大手電子部品会社でいつも部下や上司に言っていた言葉と全く一緒だったのでびっくりして内容を読ませて頂きました。コラム内容は銀行と言った一つの業種の話でしたが、日本の成果主義への移行が各業種で上手く行っていない事が良く分かる内容で「銀行もそうなんだ」と思わされる内容でした。私は一念発起して、齢45にして外資系企業の日本責任者に転職、業績UPに対する強力なプレッシャーの中で大変気持ち良く働いております。自分で決めて、その結果を自分の糧として更なるチャレンジを行う、本来の仕事に求められる事では無いでしょうか。今後、この社会を変える等との大きな視点では有りませんが若い人達にも仕事-達成-更に大きな仕事へのチャレンジと言った場を作って少しでも日本社会の変遷になればと考えております。これからのコラムも楽しみに読ませて頂きます。では。(2009/05/18)

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