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第35話「利益がなくても、借金を返せるかもしれませんね」

2009年5月20日(水)

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前回までのあらすじ

 ジェピー社長の財部益男は、アメリカの大手電子部品会社、UEPCとの交渉を独断で進めようとしていた。そのことを知った益男の母でジェピー創業者の未亡人であるふみは、亡くなった夫が信頼していた宇佐見秀夫に相談した。宇佐見は、ふみの娘、早百合から話を聞くと、益男が「筋の悪い連中に目をつけられた」ことをすぐに看破した。宇佐見は一通の手紙を早百合に託した。

 ジェピー経理部長の団達也はジェピー再建に奔走していた。まずは長野工場の在庫を減らし、工場に滞留する現金を減らすことを会議の場で訴えていた。

 益男は、ジェピーの誰にも言わずにニューヨーク行きの飛行機に妻を連れて乗っていた。達也も連絡が取れず、社内では、益男は行方不明とされていた。

ニューヨークへ

 成田を飛び立って11時間経った。隣の席からは夫の寝息が聞こえてくる。それにしても、夫は上機嫌だった。フレンチのフルコース、赤ワインはボルドーの銘酒シャトー・ローザン・ガシー。食べきれないほどのデザート。そして、キャビンアテンダントのそつが無い対応。益男はよほど嬉しかったのか、アメリカの有名企業から招待されたのだと、吹聴した。そんな夫を見ていると、美智代は次第に不安になってきた。

 (あんなに有頂天になって…)

 美智代はそう思わずにいられなかった。結婚して20年。家族を大切にする優しい夫だった。ところが、義父が急逝して会社を引き継いだ頃から、益男の様子が変わってきた。父親からの重圧からやっと解放されて社長に就任した。ところが、打つ手がすべて裏目に出た。従業員らは皆、専務だった間中を向いて仕事をしていた。今は皆が達也を見ている。そんな惨めさが耐えられないのか、益男は家に帰ると美智代にあたった。

 夫が社長の器ではないことくらいは分かっている。そんな夫が、なぜ世界的に名が知れ渡ったUEPCに招待されたのか。しかも、2人分のファーストクラス航空券まで渡された。美智代はどうしても納得できなかった。

 (この招待旅行には誰かの思惑が働いているのでは…)
 子供のような寝顔の益男を見ると、美智代はますます心配になった。

 それから1時間後、飛行機はJFケネディ空港に舞い降りた。時刻は正午。益男と美智代はファーストクラス専用の通路を通り、入国手続きを終えた。

 2人はトランクをカートに載せて外に出た。すると「ようこそマスオ&ミチヨ」と書かれた紙を持ったアラン・ボガードが見えた。アランと益男は久しぶりに会った友人同士のように固く握手を交わした。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第35話「利益がなくても、借金を返せるかもしれませんね」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長