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【第5回】「イノベーション」は神頼みをする言葉ではない

  • 松田 大介

  • 久次 昌彦

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2009年6月19日(金)

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 本連載も5回目だ。これまで世間で見聞きする様々な言葉をそのまま受け入れてしまうと、どこかで「ズレた」認識や意思決定がされやすい言葉を取り上げてきている。

 今回はこのテーマに沿って、最近改めてよく目にするようになった「イノベーション」を取り上げたい。

 イノベーションと言えるものはあらゆる産業で起きる。けれども、この言葉が何を指しているのかよく分からない時があるのではないだろうか。イノベーションという言葉は非常に広義で、昨今のような苦しい状況下では、神頼み的な意味で使われることさえある。

 実は、イノベーションという言葉のこのような側面を実感できるのは「イノベーションを起こせ」と言われて、本当に自分で考えなければならない状況になった時なのだ。

 「偶然ではなく、意図してイノベーションを生むことができるのか」というテーマで、筆者は製造業(総合電機メーカー、通信、化学、医薬品など多種)を中心とした管理職以上のメンバー同士で、長期間にわたって非常に濃厚な議論を行った経験があるのだが、この時の議論は非常に興味深かったのでご紹介したい。

イノベーションは偶然にしか引き起こされないのか?

 過去の革新的な製品、サービスが生まれた“逸話”を本や雑誌等で読むと、それが偶然の発見で生まれたかのようなことが書いてある。しかし、偶然に任せていたらイノベーションは企業の戦略の中に組み込むことが難しくなってしまう。そこで、「イノベーションを自らの意思で発生させるためには、何が必要か」という議論がされる。

 組織的な話で言えば、この分野でよく一緒に使われるのが、多様性、カタカナ文字で言うとダイバーシティー(Diversity)である。「様々な経験、背景を持つ人材を1つの組織単位に集めると、あたかも化学反応のようなものが起きることで、イノベーティブな発想が生まれる」。こんなふうに使われる。けれども、現実は厳しい。

 多種多様な人材を1つの組織に集めて何かをやらせると、それだけで本当に大変だ。膨大なコミュニケーション・ギャップを乗り越えるところからスタートすることになるが、そもそもその前に、人を集める際の「多種多様の範囲」、これがまた人によって異なるのだ。

「多種多様な人材を集める」と言われても・・・

 この範囲を決めることは、その組織の活動範囲を決めることにつながるし、「社外、いや業種外の人材まで含めるか?」という話もよく出る。次第に「多種多様な人間を集めれば、本当にイノベーションは起きやすくなるのか?」ともやもやとした何かを、メンバーリストを見ているうちに感じるようになる場合もある。

 それでも「偶然ではなく、自らの意思でイノベーションを起こすには」と議論を深く進めていくと、その議論の内容はだいたい以下のところに落ち着いていく。

  • イノベーションを起こせる組織とはどのような組織形態か
  • イノベーションを起こせる人材とはどのような人材か
  • 上記のような人材を育成するためにはどのような教育や機会が必要なのか

 当分は議論の発散は続く。けれども、最終的には、組織設計→人事戦略→人事制度と汎用的なテーマに落ちていくのは不思議な光景だった。

具体的な「次」につなげづらい

 このような経験を通して1つ確信したのは、何の準備もなくイノベーションについて議論をすると、この広い意味を持つ言葉は間違いなく終わりのない参加者の混乱を生むということだった。

 「いや、イノベーティブな発想には、多種多様な人材による議論の発散や、時に参加者の混乱も必要なのだ」という意見ももちろんある。その場合でも「最終的には、具体的な施策のイメージが参加者の中に湧いているか」という視点での評価は忘れるべきではないだろう。イノベーションに関する議論は、具体的な次のアクションにつなげづらい。だから最終的にイノベーションを起こすことが神頼みのようになってしまう。

 それではどうすればよいのか。このような状況を解きほぐす1つのアイデアを紹介したい。

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