「「熱血!会計物語 〜経理部長、団達也が行く」」

第37話「すべての取締役がノーと言っても、あなたがイエスと言えばいい」

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2009年6月3日(水)

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前回までのあらすじ

 ジェピー社長の財部益男は、アメリカの電子部品大手、UEPCのCEO、マイケル・ウッズの招待を受け、ニューヨークに向かった。益男がニューヨークのUEPCトップと面会することは、ジェピー社内では誰も知らなかった。

 益男はマイケルの自宅で催されたパーティー会場に行った。まるでハリウッド映画に出てくるような豪華なパーティーには、有名な音楽家や野球選手も集っていた。益男はもてはやされ、すっかり夢見心地になっていた。

 元専務の間中隆三とともにジェピーを追われた沢口萌は、銀座の高級クラブに勤めながら密かに“復讐”の時を待っていた。萌はアメリカの投資ファンドの日本支社長であるリンダと東京駅に隣接するビルの20階にあるホテルのロビーで初めて顔を合わせていた。

東京駅近くのホテルロビー

 萌はリンダがなぜ達也に敵意をむき出しにするのか、興味を覚えた。

 「リンダさん、質問していいかしら」
 萌は穏やかに言った。

 「なぜ、そんなに団さんが嫌いなんですか?」
 「あの人のことが嫌い? そうじゃない。今でも好きでたまらない。だから余計に許せないの」

 2人はロビー階にあるラウンジにいた。リンダは、窓の外に広がる景色を眺めながら話を続けた。

 「萌さん。私の夢はアジアの金融を牛耳ることだった。だから、大学院はハーバードではなくシンガポール大学を選んだ。そこには私よりずっと優秀な男がいた。それがダンだった。彼と付き合ううちに、上海と東京とシンガポールを結んだネットワークが見えてきたと思ったわ」

 リンダは目を輝かせた。
 「わたし、こう見えても北京大学で最優秀賞を取ったのよ。それに、ミス中国に選ばれたこともある。欲しいものは何でも手に入った。あらゆる男性たちは私の望みを叶えようと必死だったわ。でも、私の目にかなった人はいなかった…」

 「団さんと会って人生が変わったのね」
 萌が聞くと、リンダは「認めたくないけどね」と言ってかすかに口元に笑みを浮かべた。

 「私とダンが組めばどんな夢でも実現する、と思ったわ。それなのに彼は宇佐見とかいう老人に騙されて、名もない日本のスモールカンパニーに就職してしまった。信じられなかったわ。私が初めて心を開いた男は、私を裏切り、去ってしまった」
 リンダは唇を噛んだ。

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著者プロフィール

林 總(はやし・あつむ)

林 總公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)、林總アソシエイツ代表取締役。1974年中央大学商学部会計科卒業。経営コンサルティング、一般会計および管理会計システムの設計、導入指導、講演活動などを行っている。主な著書に『経営コンサルタントという仕事[改定版]』『よくわかるキャッシュフロー経営』『わかる!管理会計』『やさしくわかるABC/ABM』『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『売るならだんごか宝石か』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』『つぶれない会社には「わけ」がある』など。最新刊は『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『読む管理会計 企業再生編――「キャッシュ経営」で会社を救え!』『読む管理会計 粉飾決算編――会社の「ウソの数字」にダマされるな!』『ドラッカーと会計の話をしよう』『世界一わかりやすい会計の授業』『貯まる生活―見えない未来にそなえる家計マネジメント術』。自身のホームページの「団達也会」では、「団達也と真理と一緒に会計を語りつくそう」という会員向けのサービスを主催している。



このコラムについて

「熱血!会計物語 〜経理部長、団達也が行く」

主人公の団達也は、シンガポール大学ビジネススクールで学んだ後、恩師の経営コンサルタント、宇佐見秀夫の教えを胸に、中堅電子部品メーカー、ジェピーに入社した。ジェピーでは、専務の間中隆三やその愛人の沢口萌らによる不正の数々が常態化、粉飾決算が行われていた。経理課長に就任した達也は、経理部員の細谷真理とともに数々の不正を明るみに出し、ジェピーを乗っ取ろうとしていた間中らのたくらみを暴いた。達也はその功績から取締役経理部長となった。CFOとしてジェピーの経営に参画することになった達也を待ち構えていたのは、ジェピーの特許を狙う米国の投資ファンドとの熾烈な戦い。しかも、相手は達也のかつての恋人、リンダだった――。物語を読み進めながら、生きた会計知識が身につき、会社経営の本質が分かる会計小説。

前シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理課長、団達也が行く」

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