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部下のいない管理職は何を管理し何を見ているか

「ビア樽型」「ワイングラス型」年次構成の会社に未来はある?

  • 永禮 弘之,長尾 朋子

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2009年6月17日(水)

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来春の就職戦線は雨模様

野々村人事部長

 みずほフィナンシャルグループ、トヨタ自動車、日立製作所、NECなど、これまで1000人以上の大人数の新卒定期採用を行ってきた企業が、2010年の採用を最大で前年比9割減と大幅に抑制する。日本経済新聞社の「採用計画調査」(今年4月時点)によると、2010年春の大卒採用計画数は8万2500人で、昨年度比約20%減に達する。昨年までの売り手市場は、一転して買い手市場に変わってしまったようだ。

 業績の見通しが立たない中、雇用調整がしづらい正社員の採用はリスクが大きいのも確かだ。一方で、採用を抑えれば人員の自然減で、人件費が減り利益を引き上げることができる。リストラや賃金カットは、今働いている社員たちを雇用不安にさらし、モチベーションを下げてしまう。それならば、もし増員の必要性が生じても、当座の必要人員は中途採用や派遣社員で穴埋めし、新卒採用はしばらく控える方がいいと考える企業は多いだろう。

 しかし、新卒定期採用は、会社の5年先、10年先の人材ポートフォリオを見すえて行うもの。短期業績の視点では最善の選択でも、新卒の採用抑制が将来組織に及ぼす影響は大きくないのだろうか。

 これまでも、不景気になると新卒の採用抑制が行われてきた。典型は、1980年代のバブル景気における大量採用と、それに続くバブル崩壊後の極端な採用抑制による就職氷河期だ。その時の採用抑制の結果、今何が起こっているのか。その検証を通じて、現在の新卒採用の急速な絞り込みの是非について考えていきたい。

採用抑制は本当に効果があるの?

 5月中旬のある晩、野々村さんは、新卒で入った大手電機メーカーの同期5人と久々の再会を楽しんでいた。野々村さんは、15年ほど前、人事課主任だった時に、早期退職でその会社を去り、中堅半導体用機械メーカーを経て、今は中堅スーパー、マルコーの人事部長になっている。80年代に、同期入社した新卒は1000人余り。大半は古巣に残っているが、野々村さんのように他社へ転職する人も増えてきた。

 近くの席の、いかにも新入社員らしい若者のグループを横目に見ながら、野々村さんがつぶやく。「電機業界は、今年はかなり新卒採用数を絞っているみたいだな」。

 「新聞見ただろう? うちも半減さ」。現在の人事企画部長の同期が言う。この大手電機メーカーは、バブル崩壊後にも、新卒採用数を大幅に絞っていた。「バブル期の毎年1000人以上の採用から、崩壊後はいきなり4分の1以下。急激に増やしたり減らしたりするから、年次別の人員構成がいびつになっている。ピラミッドどころか、バブル世代が大きなこぶみたいに張り出して、その先はしぼんで細くなって、ここ数年はちょっとすそ広がり。ちょうどこんなグラスの感じかな」とワイングラスを掲げてみせる。「大量のバブル世代が課長ポストに詰まっているから、その下の人材は長い昇進待ちだ」。

 海外営業部長は、「それだけじゃない。バブル世代の部下となる氷河期以降の入社組は、極端に数が少ない。本来一番元気のある若手層が少なくて、日本と同じ“高齢化社会”だ」と言う。「俺の部には、今年5年ぶりに新入社員が入ってきたが、先輩がいないから、最も歳の近い係長が手取り足取り教えているんだ。世代間ギャップがありすぎて、言葉が通じないって嘆いているよ」。

 規模は異なるが、マルコーの人員構成の将来像を考える立場の野々村さん、つい素直な疑問が口をついて出た。「そもそも新卒の採用抑制に、どのくらいの経営インパクトがあるんだろう? 『明日の会社を担う新卒まで削って努力しています』という株主に対する経営姿勢のアピールにはなるかもしれないけどね。でも、結局はマイナスの影響の方が大きいんじゃないか・・・」。

“失われた10年”で失われた正社員

 極端な採用抑制の影響を受けるのが、正社員の「年次構成」だ。景気が後退したり、市場競争が厳しくなったりして、業績が落ちてくると、余剰人員が出る。まずは短期雇用労働者の労働時間削減または雇い止めで雇用調整を図ろうとするが、それでも無理な場合は正社員に手をつけざるを得ない。

 ところが、正社員の雇用は固く守られており、そう簡単には辞めさせられない。早期退職で辞めてもらうにも、一時的に退職金が増えるので限界がある。出て行く人が増えないのであれば、入ってくる人を絞るしかない。そこで、新卒採用を抑えることになる。

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