• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第39話「あの強引さでは人はついてこない。彼はそれに気づいていない」

2009年6月17日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回までのあらすじ

 ジェピー社長の財部益男は、アメリカの電子部品大手、UEPCのCEO、マイケル・ウッズの招待を受け、妻の美智代と2人でニューヨークに行った。豪華なパーティーでもてはやされ、益男は有頂天になったが、マイケルに1枚の合意書を見せられた途端、我に返った益男だったが、もう後には引き下がれなかった。

 その場にはキース・ジャクソンという弁護士が同席していた。益男が署名をしようと背広の内ポケットから万年筆を取り出した時、益男の携帯電話が鳴った。それは、母であり、ジェピー創業者の未亡人、財部ふみが倒れたという妹からの知らせだった。

 益男はこの電話を好機に合意書にサインすることなくその場を立ち去り、すぐに東京に帰ることにした。一方、同席していた弁護士のキースにも1本の電話がかかった。東京のジェピー本社にいる団達也からだったが、キースは取り合わずに切った。

 達也はキースが自分の電話に対して誠意ある対応をしなかったことに腹を立てていたが、改めてキースに電話をした際、自身の間違ったリーダーシップに関する考え方を指摘され、言葉を失っていた。

機内

 とうとう一睡もできなかった。ニューヨークに向かう時は、あんなに興奮したファーストクラスの客室に、なんの感慨もなかった。食べきれない豪華な食事も、高価なフランスワインも、美味しいとは思わなかった。言いようのない空しさに押し潰されそうになりながら、益男は長い時間をじっと耐え続けた。

 益男の脳裏には様々な思い出が去来した。母のこと、会社のこと、そして劣等感に苛まれ続けた人生…。そして、これからどう生きていくか。益男自身、自分が社長の器でないことは分かっていた。親の期待を裏切るまいと、それだけを考えて生きてきたのだ。

 だから、いつも助けてくれる人が必要だった。父、三沢、間中、そして団達也。今回のアメリカ出張の直前、益男は達也を面罵した。我が物顔で振る舞う達也に我慢ならなかった。達也だけを疎ましく思ったのではない。父も、三沢に対しても同じ思いだった。彼らは端から益男のこと見下げていた。つまり、人前で達也を面罵したのは、みじめな自分への決別の意味もあったのだ。

 だが、改めて振り返ると間中だけは違った。従兄弟の間中は、幼い頃から兄貴のような存在であり、憧れの対象だった。達也が現れるまで、間中は自分にとってのよき参謀だった。

 (あいつがジェピーをメチャメチャにした…)

 益男は決意した。達也をジェピーから追放する。そして、間中を呼び戻すのだ。

 妻の美智代は、隣の席で一言も口を利かずに座り続ける益男を心配そうに見つめていた。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第39話「あの強引さでは人はついてこない。彼はそれに気づいていない」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック