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1000年技術は1000年後も残る

  • 秋元 志保

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2009年6月19日(金)

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<プロローグ>

 東京でこの春一番の暖かさを記録した日、母が着物を部屋一面に並べていました。所狭しと並べられた着物の数は30枚以上。並び終えると「新しい桐のタンスを買いに行く」と母は出かける準備を始めました。それを聞いて「インターネットで探せばいいんじゃない」と私。すると、「ダメよ。引き出しの出し入れ具合が確認できないじゃない」と言い、家具屋さんに出かけて行きました。

 着物は桐のタンスで大切に保管する。母は祖母からそう教えられたのかもしれません。湿気の匂いが漂いはするものの、伝統的な技法で手間暇をかけて作られた着物は、何十年経った今でも色あせることはありません。

 簡単だから、便利だからと自分で確かめることもせず、桐のタンスをネットで購入するという選択肢は、この着物には似合わないのかもしれない。何気ないやり取りの中で、普段気づくことのない伝統のぬくもりと、変わらず受け継がれるという素晴らしさを肌で感じた出来事でした。

「手作り」本来の価値が理解されない

 安くて使い勝手の良い「便利なもの」に囲まれている中では、伝統工芸品を身近に感じる機会も少なく、私たちの生活は伝統の世界からどんどん遠ざかっています。

 伝統工芸の最大の特徴は「手作り」。機械では再現できない繊細な細工や完成までに20工程以上もかけて仕上げる品もあるといいます。労力と時間がかかり、伝統工芸品は大量生産を望めません。おのずと値段は高くなります。

 地域の風土や文化から生まれた伝統工芸品は、私たちの生活に密着していたものでした。気軽に楽しめたはずの工芸品は今や手の届きにくい高級品となり、買い手がその価値を理解することも難しいのです。

 また、細かい作業とそれを可能にする高い技術が求められる伝統工芸品は「一人前になるまでに10年かかる」とよく言われています。

 仕事ができるまでの修業期間の長さと師弟という独特な関係性。さらに伝統という窮屈に思える世界に憧れを抱く若者は少なく、伝統工芸の道に進む人は減っています。こうした後継者不足も各地で起こっています。

「弟子求む!」。後継者不足に新たな一手

 「伝統工芸士に弟子入り募集」。今年の5月、東京都葛飾区が伝統工芸の後継者を育成する事業として、全国から弟子入り希望の若者を募集しました。

 平成20年度から始まった「伝統工芸職人弟子入り支援事業」は、国内でも珍しい取り組みとして注目を集め、予想を上回る応募があったようです。

 この事業は、日本全国から伝統工芸を習得したいと意欲を持った若者を募集し、弟子入りという形式で区の担当者が親方とのマッチングを行い、後継者の育成に区が助成をするというもの。

 書類選考を経て、親方との面接後、採用の合否が決定。最初の3カ月間は無給で、その間はアルバイトなどで生計を立てていきます。

 そして、4つの伝統工芸士候補を育てるべく、後継者育成支援事業は本年度も行われています。

(画像をクリックするとリンク先へジャンプします)

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