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残業代もなければ生産性も低い~日本人の「労働」に未来はあるか

“コスト削減の即効性が高い”残業削減について考える

  • 永禮 弘之,長尾 朋子

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2009年6月24日(水)

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 前回は、日本企業による来春の新卒採用抑制の動向を取り上げました。今回は、企業にとってコスト削減の即効性が高く、社員には痛みが少ない、「残業削減」に焦点を当てます。

 日本の人事部の代弁者、野々村さんが勤める流通チェーンのマルコーでも、残業削減が重要な課題になっています。とくに、大手飲食チェーンや量販店などが、「名ばかり管理職」と「未払い残業代」について現役社員などから訴訟を起こされ、マスコミに大きく取り上げられて以来、緊急課題になりました。残業代を分単位で払うことが求められるため、まずは店舗ごとに残業の実態を正確につかむことに力を入れてきたのです。

 その結果、改めて残業代のコスト負担が注目されるようになりました。そこで、本社の管理職やエリアマネジャーが、部下や店舗現場の勤務時間を日頃からきちんと管理するように周知徹底。かつては、遅くまで残って働く人=まじめに働いている人、というイメージもあり、とくに本社部門ではなかなか残業が減りませんでした。

 数年前に一時取り入れた組織のフラット化や個人業績評価の導入も、職場に混乱を引き起こしました。組織のフラット化により、情報を共有し協働する相手先や機会が増えたため、会議の回数や遠距離の出張回数が増えて、本社の管理職、地域本部長、エリアマネジャーたちの社内調整の手間が増えてしまったのです。一方で、部下や店舗の指導、相談にかける時間が減ってしまいました。

 また、個人業績が評価の中心になったため、職場でお互いに協力し合うことが少なくなってしまいました。こうして、若手社員が指導してもらう時間が減り、なかなか効率的に仕事をこなせるようになれないという事態も招いてしまったのです。

「働き蜂」日本の正社員は働きすぎで疲れている

野々村人事部長

 日本の労働時間の長さは、先進国の中では高い水準だ。日米英独仏5カ国の2005年時点の年間総労働時間を比較した国際労働機関(ILO)の調査によると、日本は5カ国中最も長い。日本の労働者は、ドイツやフランスに比べ、300時間以上も長く働いている。とくに、日本の正社員(一般労働者)の年間労働時間は、2000年以後、2000時間前後で高止まりしている。(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)

 「長時間雇用者」(週に50時間以上働く雇用者)の割合は約30%。先進国の中でも比較的労働時間が長いアメリカでもこの割合は約20%なので、日本の長時間労働者の割合は、先進国の中で突出している。さらに、25歳から49歳の働き盛りの男性正社員の約2割は、週に60時間以上働いている。つまり、入社3年未満の若手か、早期退職制度の対象になる50歳以上の中高年者以外のビジネスパーソンの2割は、休日出勤しないで週5日出勤する場合、平日は毎日朝9時から夜10時以降まで働いていることになるのだ。(『エンドレス・ワーカーズ』小倉一哉著 日本経済新聞出版社)

 長時間労働が常態化している日本の正社員。当然、残業時間も長い。労働者1人当たりの平均年間所定外労働時間(サービス残業を含まない)は、2001年以後増加傾向で、2003年以後は150時間前後で推移している。『エンドレス・ワーカーズ』の著者、小倉一哉氏の調査によると、日本の正社員の約9割は残業をしており、「超過労働時間」(所定労働時間を超えて働いた労働時間。サービス残業を含む)は、1人当たり月平均35時間(年間420時間)。月に22日働く場合、サービス残業も含めて、1日当たり1時間半残業していることになる。また、職場だけでなく自宅で勤務時間外に仕事をする人も、全体の3分の1に上るようだ。(労働政策研究・研修機構の調査)

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