筆者の社会人第一歩は、システムエンジニアだった。しかし日本IBM時代、当事「お荷物」とまで言われた中小型部門の立上げ、新規事業、社長室での経営組織など、ほとんどエンジニアではない業務を担当し、その後はベンチャーとして事業立上げと開発の連続だった。
1990年に日本オラクル、95年に日本グプタの立ち上げ、再生、IPO準備。2000年セールスフォースドットコム設立(日米同時立上げ)、サンブリッジ設立、ベンチャーキャピタリストとしての経験…、と歩んできた。
先日ある人にこの経験をお話すると、「飽きっぽい人ですね」と言われてしまった。会社も規模が大きくなると、管理社会になる。そこからは大企業と同じオペレーションになってしまうので、外に出てイチから始めたくなる習性なのかもしれない。
3年前、NPO法人JapanVentureResearchを設立、日本初のベンチャー企業の資本政策データベース化に取り組み、起業家、ベンチャー企業への支援活動を行っている。このコラムでは、ベンチャー起業を考えている方、経営者としてIPOを目指している方にとって新たな発見、気づきのヒントをお話ししていければ、と思っている。
昨年あたりから、ベンチャーに逆風が吹いている。「最近はベンチャーの活力がない」とか、「ベンチャー投資は儲からない」「いいベンチャーがない」と言われることが多い。
また、ベンチャー企業の大きな目標となっている新興市場、ベンチャー企業の成長を支援するベンチャーキャピタル(VC)などでも、昨年から大きな構造的な課題が表面化している。このため今年は、こうした課題解決のための勉強会や施策の論議などが活発に行われている。
ベンチャーがネガティブに捉えられるようになった、最大の原因は何か。それは、「周囲の期待に応えられるだけのベンチャーが少なかった」からではないかと、筆者は感じている。
2000年以降に新興市場が誕生し、様々なVCファンドも作られ、ベンチャー投資が盛んになった。ベンチャーがIPO(新規株式公開)をすることも盛んになったが、結果的には株式市場というマーケットの世界で、いわゆる「投資の期待」に応えられるだけのベンチャーが極めて少なかった。
多くのベンチャーが上場した(2000年以降新興市場に上場した企業は、2008年末まで1097社)が、上場後、上場で得た資金を有効活用して本来のビジネスモデルを拡大成長させている企業が、投資家の期待と比べて大幅に少ない結果となっている。
上場するまでは周囲の期待が非常に強く、ベンチャーに多くの投資が行われた。一方、上場後は期待されるべき魅力が乏しくなり、株価が上がらなければ資金も思ったように調達できずに、思うように成長できないベンチャーが多かったのだ。
株式公開前の方が資金が集まる不思議
2008年新興市場で上場し、VCが投資をしている企業36社を分析してみると、会社設立から上場前までの資金調達額は4.01億円(中央値)、一方上場による公募資金調達額は2.53億円。上場の目的は本来、企業の成長のための資金調達にあるのに、残念ながら未公開時の方が豊富に資金が集まっている。
この上場前と上場時の逆転傾向は、企業価値評価(時価総額)にも見られる。上記と同様2008年上場企業を分析すると、上場直前の時価総額は27.96億円、一方上場時初値時価総額は31.43億円と、上場をしてもわずか12%しか上進していない。
これでは、上場が見えてきてから投資をしているVCなどは、希少な利益しか期待できないことになる。さらに平均がこのレベルだから、半数近くは赤字マイナスの可能性もある。
一方、このような結果となる以前を見てみよう。
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