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第41話「そんなことになれば、従業員たちの生活を守れません」

2009年7月1日(水)

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前回までのあらすじ

 ジェピー創業者の未亡人の財部ふみが、息を引き取った。長らく心臓病を患った末のことだった。ふみはジェピーの大株主でもあった。

 間中隆三はジェピーの専務だったが、当時の経理部員、沢口萌と共謀して会社のカネを横領したとされ、萌とともに会社を追われていた。間中はふみの訃報を従兄弟である財部益男から聞き、返り咲きのチャンスとばかりに策を弄していた。

 経理部長の団達也の施策が功を奏し、ジェピーの業績は上向いていた。達也がやったのは「何もしなくても費用はかかる」と現場に言い続けることだった。在庫の流通スピードを速め、会社の中を流れるお金の量を減らすだめだった。

 その結果、キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)は9日に短縮され、増えた現預金を、銀行借入の返済に回すことができた。費用を減らして売り上げを増やすことに成功した結果だった。

 「ふみさんが亡くなった…」

 宇佐見は早百合からの知らせに言葉を失った。ふみは心臓病を患い入院生活を送っていたが、一度は退院して、病院の近くにあるマンションに娘と2人で暮らすようになっていた。ところが、1年も経たないうちに息を引き取ったのだ。

 宇佐見はふみの夫で、先代のジェピー社長が最も信頼する経営コンサルタントだった。ふみは夫に先立たれた後もジェピーの経営のことでは宇佐見を頼り、宇佐見もふみのために一肌脱ぐことを厭わなかった。

 「心労が寿命を縮めたんだな」
 宇佐見はポツリと言った。

 「確かに兄のこと、会社のことで、思い悩んでいました。でも、先生とお話ししてから、ずいぶん気が晴れたと申しておりました。本当にお世話になりました」

 早百合が悲しみをこらえ、懸命に宇佐見に感謝の言葉を述べていることが、宇佐見には手に取るように分かった。

 「あの日の電話が最後になってしまったようだね」
 宇佐見はちょうど1週間前のことを思い浮かべた。

 宇佐見は脳梗塞で倒れて以来、伊豆の別荘で隠居生活を送っていた。その日、日課の散歩から帰ってくると電話が鳴った。電話番号は一部の知人にしか教えていないこともあって、ごくたまにしかかかってこない。受話器からは、弱々しい女性の声が聞こえてきた。

 「宇佐見先生でしょうか。財部ふみでございます」
それは予想もしていない人からだった。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第41話「そんなことになれば、従業員たちの生活を守れません」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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