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第43話「オレが責任を取るから好きなようにやれ、そう励ますのが上司ではないか」

2009年7月15日(水)

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前回までのあらすじ

 ジェピー社内では、経理部長の団達也に対する反発が強まっていた。何としてでもジェピーを再建しなくてはならないという達也の意気込みが、経理部員をはじめとした社員には、「専横」と映っていたのだ。

 イギリスのエジンバラ投資会社は、ジェピーにデット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap=DES)の実行を迫っていた。このDESが行われると、エジンバラ投資会社はジェピー株式の49%を取得することになる。

 このエジンバラ投資会社でDESを手がけているのは、達也の旧友、ジェームスだった。ジェームスは一刻も早く株を売りたいと考えていた。

 アメリカの電子部品大手、UEPCのCEO兼会長のマイケル・ウッズは、マインスリー社CEO兼会長のロバート・グラハムと親友だった。この2人は話し合ってリンダをマインスリー社の日本支社長にし、ジェピーを乗っ取ることを画策していた。

 リンダは当初、ジェピーの債権を関東ビジネス銀行から取得しようと目論んでいたが失敗。マインスリー社CEOのロバート・グラハムに激しく叱責されていた。

 

ジェピー経理部

 「部長は経理部長としての仕事をしていない」
 木内は声を荒げた。

 経理部では、不定期だが部員全員が集まって意見交換をする会議を開いていた。達也が部長に就任して、何度目かの会議が開かれた。

 「日々の収支を管理したり、伝票をつけたり、会計ルールを忠実に守って決算書を作成することが私たち経理部員の仕事です。それなのに、部長はそうした仕事を一切しない」

 豊橋工場から異動し、長野工場の経理責任者を務める木内は、辞めた前の経理部長、斑目を彷彿させるような持論を展開した。

 木内は、資産や負債の管理と業績の測定だけが経理の仕事と思い込んでいるのだ。達也は愕然とした。斑目に代わって経理部長になってからずっと、経理部の本来の姿について事あるごとに伝えてきたつもりなのに、全く理解していないのだ。

 本社経理部員の田中も価値観が変わらない1人だった。それどころか、最近になって露骨に達也を批判するのだ。

 「経理部は経理の仕事をしていればいいんです。部長は自分の仕事をそっちのけで社長のつもりでいるけれど、それはおかしい」

 達也は、怒りが爆発しそうになるのを懸命に抑えていた。ここは部下の本音を引き出す時だ。
 「細谷課長はどう思いますか?」

 達也は真理を指名した。
 「どちらも、経理部の仕事だと思います」
 真理は言葉を選んだつもりだった。ところが田中は突然ぞんざいな口調になって、真理の批判を始めた。

 「どちらも経理の仕事? あんたは部長の腰巾着だからそんなことを言えるんだ」
 真理は表情を変えることもなく、毅然としてこう反論した。

 「経営者にとって関心があるのは、将来を予測するための情報です。木内課長がおっしゃるような仕事では、過去の情報しか経営者に提供できません。こんなことをしているから、経理部は宿り木だ、と影口をたたかれるんです。団部長が責任者になってからは、工場のライン別損益も、得意先損益も分かるようになりましたし、赤字が出れば、その原因までさかのぼることも、有効な手も打てるようになりました。経理の仕事をすることがこんなに楽しいこととは思ってもいなかった…」

 すると、田中が口を開いた。
 「あんたが楽しく感じるのは、団さんと仕事ができるからじゃないの?」

 その品のない言い草に、とうとう達也の堪忍袋の緒が切れた。達也は椅子から立ち上がって、田中に向かって大声を張り上げた。

 「いいかげんにしろ。細谷課長が言うように、将来を見据えた情報を経営者に提供することが、我々本来の仕事なんだ。きみたちは、毎日死亡診断書を書いていれば給料がもらえるとでも思っているようだが、そんなことはコンピューターにさせればいい」

 田中は達也の剣幕にさすがに怯んだ様子だった。ところが木内の反応は達也の予想外だった。以前なら黙り込んでしまっていた木内は、恐れるどころか達也に食ってかかったのだ。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第43話「オレが責任を取るから好きなようにやれ、そう励ますのが上司ではないか」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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