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新しい価値をオン~舞妓はん芸妓はん御用達の「うちわ」が海外で売れた

完全受注生産、宣伝一切しなかった老舗が海外出展

  • 秋元 志保

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2009年7月17日(金)

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 地域の風土や文化から生まれた伝統工芸品は、私たちの生活に密着していたものでした。気軽に楽しめたはずの工芸品は今や手の届きにくい高級品となり、買い手がその価値を理解することも難しくなりました。伝統工芸を取り巻く環境は決して楽ではありません。しかし、過去にも多くの困難を乗り越え、伝統工芸は何千年、何百年と生き残ってきました。

 この連載では、こうした日本の素晴らしい伝統工芸品を守りながら、新しい工芸品の道を探すべく事業者たちの「JAPANブランドの育成」の試みと工芸品への思いを紹介していきたいと思います。

 全国商工会連合会、日本商工会議所らが中心となり、世界に通じる新しい商品やサービスを作り、自らの経営基盤の強化と地域経済の活性化を目指す事業を育成しようとしています。後継者不足や市場の縮小に負けず、伝統の革新に挑む事業者たちの取り組みには、「モノ作りニッポン」が生き残るヒントがあるのかもしれません。

京都花街、「都をどり」に舞ううちわ

住井 啓子(すみい・けいこ)氏
小丸屋住井 十代目小丸屋善太郎
舞扇子デザイナー
幼少より日本舞踊(坂東流)を習い、7歳で初舞台を踏む。舞踊経験を生かし舞台小道具の製作、時代考証を行う。特に舞扇子のデザインに関しては花柳界からの信頼が厚い。2000年、祇園甲部歌舞会主催の「都をどり」の舞台用小道具として深草うちわを復元し、以後毎年新作うちわ展を開催。2004年には『京遊団扇』出版に当たり監修を務める。

 「都をどりはぁ~、よーいやさ~」。京都の春の訪れは、花街の芸奴さんや舞妓さんの掛け声に始まります。祇園甲部歌舞練場で行われる「都をどり」は、京都の春の風物詩。芸妓さんや舞妓さんの磨き上げられた甘美な舞に訪れた人々は酔いしれます。

 そして、芸妓さんや舞妓さんの舞をさらに美しく彩っている小道具の中に、寛永元年(1624年)に創業された「小丸屋 住井(こまるや すみい:以下小丸屋)」の「深草(ふかくさ)うちわ」があります。

 「都をどり」で使われたこの深草うちわ。実は、明治頃に一度途絶えていた伝統工芸品なのです。

 深草うちわは江戸時代に、京都市伏見の深草にある瑞光寺(ずいこうじ)を開いた元政上人(げんせいしょうにん)が両親に涼を送るために作られたのが始まりと言われています。

 小丸屋は元政上人のために扇面(せんめん)の表に花鳥風月を、裏は和歌や俳句が書けるように無地になっている「深草うちわ」を作成。以来「小丸屋」はうちわの専門店として、その技術を守り続けてきました。

「うちわはもともと人を扇いでさしあげるもの」

朝顔が描かれた「深草うちわ」
画像のクリックで拡大表示

 当時、深草うちわは「京の都へ行ったなら、深草うちわを手土産に」と言われるほど、都の人気商品でした。製造も最盛期を迎え、多くの人に親しまれます。京の町娘へのプレゼントとしても重宝されたそうです。

 小丸屋の深草うちわは、柄(え)と扇面が別々で作られている「差し柄」とは違い、1本の竹の上部を扇面の骨として削ぎ、下部を柄として用いられています。柄と扇面が一体になっているので、丈夫で壊れにくく、何十年も使えるうちわなのです。一方で、一本一本手作業で仕上げていくため、手間のかかるうちわでもありました。

柄と扇面が一体になっているうちわ。ささくれを取りながら骨を整えていきます
画像のクリックで拡大表示

 さらに、「うちわはもともと人を扇(あお)いでさしあげるものでした。扇いでさしあげるのは、感謝やねぎらいの気持ちが込められています」と深草うちわは涼だけでなく、「思いやりの心を伝えるうちわだった」と小丸屋10代目当主住井啓子さんは言います。

 しかし、明治末頃、深草うちわは姿を消します。

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