• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第44話「だまされたのよ。着服したお金は、あいつの口座に振り込んだわ」

2009年7月22日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回までのあらすじ

 ジェピー創業者で会長だった財部文治の未亡人、ふみが亡くなった。長い間心臓病を患った末のことだった。

 益男の妹の早百合は、父親の代から信頼している元経営コンサルタントの宇佐見秀夫に、ふみが遺言状を残していたことを伝えた。早百合は宇佐見に告別式での開封に立ち会ってもらいたいと頼んだ。

 ジェピー経理部の団達也部長は、会社の再建に全力で取り組んでいた。しかし、達也の一途さを誤解し、達也に面と向かって反発する社員が出てきた。達也の元にもふみの訃報は届いた。しかし、達也はふみの告別式には出ないでくれと言われていた。

 間中隆三はジェピーの専務だったが、当時の経理部員、沢口萌と共謀して会社のカネを横領したとされ、萌とともに会社を追われていた。間中はふみの訃報を従兄弟である財部益男から聞き、策を弄していた。

 間中は、益男と結託して達也を追い出し、実質的な経営者となってジェピーを牛耳ろうとしていたのだった。

飯田橋のマンション

 明日の告別式の打ち合わせという名目で、間中はふみが暮らしていた飯田橋のマンションを訪れた。そこには、娘の早百合のほかに、益男と妻の美智代が既に到着していた。

 「隆三さん、わざわざ来ていただいてすみません」
 益男は隆三の手を握り締めた。

 「早百合さん、大変でしたね…」
 美智代は早百合を労った。

 だが、早百合は不愉快でならなかった。亡くなった母は、隆三の経営手腕に期待してジェピーに招いたのだ。だが、益男を見くびり、そのうち社長のように振る舞い、挙句の果てには、自分の一存で義父の会社の債務保証をしたのだ。

 その会社は破綻し、ジェピーは20億円の債務を背負い込むことになってしまった。だが、隆三はふみに詫びることはなかった。それどころか、粉飾に粉飾を重ねて、会社の財産を横領し、無借金経営だったジェピーを借金まみれの会社にしてしまったのだ。そんな隆三をふみは許してはいなかった。そして、早百合もまた、許す気にはなれなかった。

 ところが、いつの間にか兄の益男は隆三と連絡を取り合い、ふみのマンションの敷居をまたがせてしまった。

 早百合は隆三夫妻とは会話をする気にもなれず、キッチンに立って簡単な料理を作り始めた。

 早百合の耳に、小声で話している益男と隆三の会話が聞こえてきた。
「あいつをジェピーから叩き出してやる」

 それは益男の声だった。「あいつ」とは、団達也に違いない、と早百合は直感した。
 「隆三さん。ジェピーはUEPCと対等ですよ。何といっても、うちには金子という天才がいるんです。あいつがいなくてもジェピーは大丈夫です」

 益男は弾んだ声で言った。無論、隆三にはジェピーがUEPCと対等でないことも、金子と同程度の技術者はUEPCにはいくらでもいることも、そして、益男に団の代わりが務まらないことも、分かっていた。だが、そんなことはおくびにも出さずに、益男に言った。

「「熱血!会計物語 ~経理部長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第44話「だまされたのよ。着服したお金は、あいつの口座に振り込んだわ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もう中山素平のような人物が銀行の頭取という形で現れることはないだろう。

佐藤 康博 みずほフィナンシャルグループ社長