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新しい発想は「遊び心」から生まれる

210余年の伝統は幼い少女の好奇心から

  • 秋元 志保

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2009年7月31日(金)

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 地域の風土や文化から生まれた伝統工芸品は、私たちの生活に密着していたものでした。気軽に楽しめたはずの工芸品は今や手の届きにくい高級品となり、買い手がその価値を理解することも難しくなりました。伝統工芸を取り巻く環境は決して楽ではありません。しかし、過去にも多くの困難を乗り越え、伝統工芸は何千年、何百年と生き残ってきました。

 この連載では、こうした日本の素晴らしい伝統工芸品を守りながら、新しい工芸品の道を探すべく「JAPANブランド育成支援事業」に参画している事業者の試みと工芸品への思いを紹介していきたいと思います。

 JAPANブランド育成支援事業は、全国商工会連合会、日本商工会議所が中心となり、世界に通じる新しい商品やサービスを作り、自らの経営基盤の強化と地域経済の活性化を目指した事業です。後継者不足や市場の縮小に負けず、伝統の革新に挑む事業者たちの取り組みには、「モノ作りニッポン」が生き残るヒントがあるのかもしれません。

210余年の伝統は幼い少女の好奇心から生まれた

 藍色に白い模様が施された木綿の生地。福岡県八女郡広川町地域で作られているこの生地は「久留米絣(かすり)」と呼ばれている福岡の伝統工芸品です。久留米絣は1800年頃、井上伝(いのうえでん)というひとりの少女の好奇心から生まれました。

藍と白で織られた伝統的な久留米絣の生地。寸台に乗せながら所定の長さに切り四つ折りに整反されている様子
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 当時、12歳だった伝は自分が着ていた藍色の着物に、色が抜けて白く斑点になっている部分を見つけ、「どうなっているんだろう」と興味を抱きます。

 大人から見ればただの色あせた着物ですが、伝にはこの白い斑点が藍色一色で地味な着物を飾る楽しい模様に見えたのでしょう。すぐに白くなっている部分をほどき、糸がどんな風になっていると模様ができるのかを探り始めました。

 はた織りが得意だった伝は、藍の中にもっと楽しい模様を施そうと夢中で糸を組み合わせます。しだいに、伝の遊び心から生まれた藍地に白の模様が施された織物は、「久留米絣」と呼ばれ周りの大人たちにも高く評価され、藩の財源になるほど普及していったのです。

 「伝統は次の代に受け継がれるからこそ伝統と言える。時代を乗り越え、人々に受け入れられるものを作るためには改革の精神が大事なんです」と語るのは、広川町で久留米絣の製造、販売を行う野村織物の代表取締役野村哲也さん。

 和服から洋服に変わった現代では、久留米絣の需要は減り、久留米絣を営む事業者の環境は厳しくなる一方です。そんな中、野村織物は、4代目となる息子の野村周太郎さんと共に、久留米絣の革新に挑み続けています。

野村 哲也(のむら・てつや)氏(左)
野村織物 代表取締役社長
1945年生まれ。福岡県立福島高校卒業後、64年野村織物に入社。3代目として染色から製造、販売まですべてを先代から受け継ぎ、98年10月同社代表取締役に就任

野村 周太郎(のむら・しゅうたろう)氏(右)
野村織物 取締役専務
1974年生まれ。亜細亜大学経済学部経済学科卒業。97年東京トヨペット入社。2001年より野村織物にて広報・営業活動を行い染色などの製造にも携わる。2008年取締役専務。現在4代目として日々勉強中

 周太郎さんは「久留米絣と聞いてもいまは知らない人の方が多い。ですから久留米絣という名前を広げていく活動をしなければ、市場はどんどん先細ってしまいます」と、40~60代にファンの多い久留米絣を20~30代の若い世代にも手に取ってもらえるようにデザインの向上を目指しました。

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