「JAPAN1000年技術」

英国・ドイツのテスト販売で飛ぶように売れた“日本らしい”文房具

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2009年8月7日(金)

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 地域の風土や文化から生まれた伝統工芸品は、私たちの生活に密着していたものでした。気軽に楽しめたはずの工芸品は今や手の届きにくい高級品となり、買い手がその価値を理解することも難しくなりました。伝統工芸を取り巻く環境は決して楽ではありません。しかし、過去にも多くの困難を乗り越え、伝統工芸は何千年、何百年と生き残ってきました。

 この連載では、こうした日本の素晴らしい伝統工芸品を守りながら、新しい工芸品の道を探すべく「JAPANブランド育成支援事業」に参画している事業者の試みと工芸品への思いを紹介していきたいと思います。

 JAPANブランド育成支援事業は、全国商工会連合会、日本商工会議所が中心となり、世界に通じる新しい商品やサービスを作り、自らの経営基盤の強化と地域経済の活性化を目指した事業です。後継者不足や市場の縮小に負けず、伝統の革新に挑む事業者たちの取り組みには、「モノ作りニッポン」が生き残るヒントがあるのかもしれません。

念願の海外進出。欧州市場の反応は・・・

 今年の1月、フランス・パリにてJAPANブランド育成支援事業に取り組む33のプロジェクトの製品を展示し、現地バイヤーと直接商談ができる「JAPANブランド エキジビジョンin Paris」が開催されました。

 「日本の伝統を海外に広げたい」「新しい市場を開拓していきたい」。自分たちが受け継いできた技術や製品を守りながらも、衰退していく日本の伝統工芸の市場に新たな一手を講じようと、事業者たちは欧州市場に明るいデザイナーと伝統の技術を生かした新商品を制作するなど、さまざまな工夫を凝らして展示会に挑みました。

 日本の地を飛び立ち、新しい伝統の形を探すべく行われたこの展示会では、どの商品も現地のバイヤーや一般来客から高い評価を得ることができました。

 けれど、「品質はいいけれど高い」「飾っておくにはいいけれど実用的ではない」「制作時間がかかる」など、興味を持たれながらも価格や流通の問題から、最終的に商談が成立することは残念ながらほとんどありませんでした。

 ところが、5月にロンドン、6月にフランクフルトで行われたJAPANブランドのテストマーケティングで、飛ぶように売れた商品がありました。それは京都府中京区で友禅染の製造と販売を営む「岡重(おかじゅう)」が制作した文房具です。

欧州で行われたテストマーケティング。連日多くの人で賑わった
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「日本らしさ」が欧州で売れる

岡島 重雄(おかじま・しげお)氏
岡重 代表取締役社長
1952年、京都府生まれ。大学卒業後、東京日本橋の商社に入社。77年、株式会社岡重に入社。現在、代表取締役として伝統あるOKAJIMAの染色を守りながら、現代に通じる京の染めを開拓。小紋や更紗の提案を中心に、老舗として高級呉服をさらに発展させる一方、ファッションアクセサリーの製作等、京友禅の染色技術を活かしたものづくりに取り組んでいる

 岡重が展開する文房具は、筆ペン、ノート、グリーティングカードなど。実用的であるのはもちろんですが、欧州の人たちが最も目を輝かせたのはその「日本らしいデザイン」でした。

 どの文房具も友禅独特の色鮮やかで華やかな柄にデザインされています。また、欧州にはない巻物の形をしたグリーティングカードは、物珍しさから多くの人が手に取りました。筆ペンも欧州にはない文化ですが、ペンとしての実用性の高さと書き上がる字のおもしろさに、多くの人が購入していきました。

 「友達に見せたい」「日本っぽくて素敵」など一目で日本と分かる形や柄に魅力を感じたのでしょう。そして、この「日本らしい」文房具の売り上げがよかったのはデザイン要素だけではありません。一般的な文房具からと比べると多少割高ではありますが、手が届く範囲の価格だったことが、売り上げに繋がる大きな要因であったと言えます。

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著者プロフィール

秋元 志保(あきもと・しほ)
シー・ブルーム株式会社 企画・編集事業

ベンチャー企業の広報支援を手掛ける同社で、企画・編集事業部を立ち上げる。 書籍プロデュース(『ゆとり社員の処方せん』(朝日新聞出版)など)や雑誌・WEBでの記事作成を担当。

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