
若い頃を思い出してください。気になる女性/男性をデートに誘ったとします。ちょっとドキドキしながら、良い返事が返ってくるのを待ちます。軽い相づちでも大歓迎です。でも、返ってきた言葉がもし、これだったら?
「ちょっと考えてみる」
あなたは、どのように感じますか?
自分は大人らしい対応ができる。論理的に物事を整理できる。おそらく、彼女/彼は、本当に考えたいのだろう。こんなふうに、行動する前に考えることは当たり前のことだと、自分に言い聞かせるかもしれません。
また、あなたが楽観論者でもあったらどうでしょう。彼女/彼は、じっくりと考えた後、イエスと答えてくれるはず。だって、デートに誘っただけ。この世の中が引っくり返るような大事を頼んだのではないのだから。それに、自分はそんなに悪い男/女ではない。きっと、一緒に楽しんでもらえるはず! こんな風に、良い返事を待つかもしれません。
ただ、いずれにしても、返事を待つ間に心の中に小さな変化が生じることは確かでしょう。答えが最終的にイエスであっても、誘った時の晴れやかな気持ちにやや雲がかかって、パッションも少しだけ削られているかもしれません。誘った瞬間だけ感じることができるマジックのような高揚感は、永遠に失せてしまったのかもしれないのです。
前回の英文記事※1をご参照ください。
「考えてみる」という返事に宿るリスク
人生の些細な一コマを例に出しましたが、私たちは日々、職場で多くの判断を迫られます。部下から仕事の進め方について報告を受け、今後の方針を決断しなければならない。ビジネス・パートナーからメールが入り、今後の仕事を進めるためには契約を結ばなければないと催促される。営業マンから電話があり、注文が積み上がってきているので早めに受注したほう良いと勧められる。
自分は現場を任されているという責任を自覚していればいるほど、いたずらに即答することはできないでしょう。判断を下す前に、どのような影響が全体に生じるかを慎重に検討しなければなりません。既に進行している他のプロジェクトの情報収集や、関係者の意見を取り入れる必要もあります。対立する意見が存在するのであれば、その意見の持ち主との調整も必要です。
だから、「ちょっと考えてみる」という返事は、適切な答えであり、筋が通っていると言えます。
ただ、これは、賢明な答えであったのでしょうか。
「考えてみる」という答えには、実はリスクが宿っています。自分が全体のこと考えて判断している意図が、相手に見えないというリスクです。不明な理由で決断の意志が延滞されているとしか、相手の目に映らないかもしれないのです。
前回の英文記事※2をご参照ください。
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