「渋澤 健の資本主義と道徳」

ヘッジファンドの社長は「お母さん」

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2009年9月18日(金)

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 日本の人口が減少していることは広く知られている事実です。厚生労働省によると、2008年の出生率は1.37であり、また、この傾向が続けば、2050年の就業人口はおよそ4470万人と予測され、2004年と比べると約2170万人の減少になるようです。

 したがって、将来の日本社会を支える人口を増やすため、子育て支援を打ち出すべきと識者から声があがりました。選挙を目前とした政治家にはそれが“票”に見えたのでしょう、少子化対策は各党のマニフェストなどに組み込まれました。

人口だけに頼らず繁栄を続けることはできるか

 確かに子育ての出費にかかわる支援は親にとってありがたいことで、財政配分では最優先すべき領域です。ただ、現在の出生率が仮に倍になったとしても、日本の就業人口に影響が出てくるのはまだまだ先のことになります。いま、子供をつくることだけでは、当面の就業人口の減少を回避することができないのです。

 また、日本が人口増に成功したとしても、人類の数が増えることが地球のエコシステムの負担贈になるという難しい現実にも、私たちは目を向けなければなりません。地球の数多くの生命種で、人間ほど自然の貴重な資源を乱用する生き物は存在しないのです。

 ふと足を止め、一息ついて、ちょっと世の中を見渡してみれば、この時代における日本の役目が浮かび上がってきます。それは、経済大国が人口増だけに頼ることなく、いかに繁栄できるかという大変難しいケース・スタディを世界に示すことです。

前回の英文記事※1をご参照ください。

 

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著者プロフィール

渋澤 健(しぶさわ・けん)

1961年、神奈川県生まれ。渋沢栄一の5代目の子孫。小学校2年生のとき父親の転勤で渡米。83年テキサス大学卒業。87年UCLA経営大学院修了、MBAを取得。JPモルガン、ゴールドマン・サックス、大手ヘッジファンドのムーア・キャピタル・マネジメントなどの外資系金融機関を経て、2001年投資コンサルティング会社のシブサワ・アンド・カンパニーを設立。代表取締役に就任。2008年コモンズ投信設立。会長に就任。渋沢栄一記念財団理事、経済同友会幹事 主な著書に『巨人・渋沢栄一の「富を築く100の教え」』(講談社)、『渋沢栄一とヘッジファンドにリスクマネジメントを学ぶ―キーワードはオルタナティブ 』(日経BP)、『シブサワ・レター 日本再生への提言』(実業之日本社)など。新著に『渋澤流 30年長期投資のすすめ』(角川SSコミュニケーションズ)。企業の幹部候補クラスを対象にした経営塾「『論語と算盤』の現代的意義」を開催中。詳しい内容はシブサワ・アンド・カンパニーまで



このコラムについて

渋澤 健の資本主義と道徳

明治から大正にかけて日本に近代経済社会の基礎を作った実業家、渋沢栄一。日本で初めて銀行を創立し、日本初の株式制度を導入した「日本資本主義の父」です。栄一が主張したのは「論語と算盤の一致」。すなわち、中国の古典『論語』にある道徳と、“金儲け”である経済という、相容れない2つを融合させることこそ、日本の発展には不可欠という考え方です。混迷を極める世界経済に翻弄され、新たな経済の秩序を模索せざるを得ない現代、栄一の言葉は多くの示唆を我々に与えます。栄一の日本的思想を基に、資本主義とは何かについて考えます。コラムは同じ内容を英語と日本語で交互に連載するスタイルです。日本語は英文の逐語訳としてお読みいただくより、前週に掲載した英文をより深く理解するための独立したコラムとしてお読みいただければと思います。

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