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【最終回】「非正社員は社員ではないのか?」

中堅流通チェーン「マルコー」の組織・人事改革物語

  • 永禮 弘之,長尾 朋子

バックナンバー

2009年10月21日(水)

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 前回まで3回連続で、採用と教育研修労働生産性と残業賃金と雇用について、現役の人事責任者たちの生の声を紹介してきました。

 今回のシリーズで一旦、最終回になります。そこで、日本企業の人事部の代弁者、野々村さんが勤める中堅流通チェーン、マルコーのこれまでの組織・人事改革の流れを振り返ることで、社員と会社の関係のあり方を改めて考えてみます。

 足元の厳しい経営状況を切り抜けるため、関係者で話し合い対策を決める「緊急対策プロジェクト」の前回の会合では、非正社員の雇用維持を訴えた野々村さん。今回は「緊急対策プロジェクト」の最終会合で、参加者たちの支持を取りつけることができるのか、野々村さんは正念場を迎えます。

マルコーが今期営業赤字転落の危機

野々村人事部長

 日本企業の人事部の代弁者、野々村さんは、マルコーの「緊急対策プロジェクト」の会合で、人件費を抑える対策のたたき台を示したところ、複数の参加者から反論が出た。

 「緊急対策プロジェクト」会合は、人事や組織のテーマを中心に、足元の厳しい環境をどのように乗り切るか、社長や全役員も交えて話し合う場だ。野々村さんは、経営企画室長とともに、「緊急対策プロジェクト」の共同責任者を務めている。

 前回の会合で、今夏の管理職の賞与カットや役員報酬の削減は、すんなり承認された。ところが、管理職の給与カットと非正社員の雇用維持の提案に対して、大黒社長を除く参加者の大半から反論が相次いだのだ。野々村さんは、管理職の給与を当面3カ月間数%引き下げる一方で、パートやアルバイトなどの非正社員の雇用には手をつけないことを提案した。

 会社全体の収益管理を預かる経理部長から、管理職の給与カットだけでは今期営業赤字に陥る可能性があることが指摘された。営業赤字のリスクを前に、各地域の損益責任を負う地域部長たちから、思い切った合理化策を早急に打つことで、営業赤字は何としても避けるべきだという意見が出された。会社の中核である管理職の生活を支える給与まで削るのであれば、非正社員の人数も見直すのが筋だという意見も、複数の参加者から出た。

 人件費以外の経費削減を積み増して非正社員の雇用は守るべきだと主張する野々村さんと、営業赤字を避けるには非正社員の人数減らしもやむを得ないという地域部長たちとの議論は、平行線をたどった。見かねた大黒社長が、本件については次回の会合で再度話し合い結論を出すことを決め、その場を収めた。

 経理部長が中心に人件費以外の経費削減の進捗を確かめ、次回の会合で追加の経費削減策を提案することになった。また、各店舗で必要な人数を再度試算し、人事部長の野々村さんが地域ごとに店舗の必要人員数を集約した上で、次回の会合で、非正社員の雇用維持の是非を改めて話し合うことになった。

バブル崩壊後マルコーも初めてリストラに踏み切る

 1980年代後半、体調を崩した先代は、2代目にトップを引き継ぐまでのつなぎとして、大手食品スーパーの営業本部長を副社長として引き抜き、実質的に経営を任せた。副社長は、バブル経済の盛り上がりに応じて、それまでの堅実経営路線から積極的な店舗拡大に舵を切った。自らが直接管轄する営業本部を新設して、営業本部に属する支部長たちに各地域の売上責任を負わせ、売上拡大を最優先課題とした。

 しかし、バブル経済の崩壊で、積極的な店舗拡大が裏目になり、マルコーには店舗数の過剰という負の遺産が残った。営業畑が長く強気の副社長は、不況は短期間で終わるという希望的観測をもとに、バブル経済崩壊後も暫くは店舗拡大のペースを落とさなかった。しかし、日本全体を覆う長引く不況による消費不振で、店舗数増加により積み上がる賃借料や人件費がマルコーの業績の足を引っ張った。

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「野々村人事部長の歳時記2 人事部長100人とつくるコラム」のバックナンバー

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