「経済心理学のすゝめ ブレない、外れない、へこたれない 組織構築法」

組織性犯罪はなぜ起こるのか

日本女子大学、本間道子教授に聞く

  • 日経ビジネスオンライン編集部

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2009年9月28日(月)

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 企業組織体では、なぜ犯罪・不正行為が生じやすいのか。集団あるいは組織体という社会構造あるいは関係性が犯罪を起こりやすくさせ、不正を促しているなら、犯罪・不正行為防止のためには、組織・集団心理学に立脚した発生メカニズムを探ることが必要である。コンプライアンスを強調するだけでは不十分だ。

 この観点から、組織性犯罪の研究が専門の、日本女子大学の本間道子教授に話を聞いた。

 ―― これまで明るみに出た食品偽装問題など組織の不祥事では、「現場の社員がやったこと」と釈明する社長に対し、現場の社員から「自分は社長からの指示に従っただけ」「トップダウンで決められたことに異を唱えることはできなかった」という証言が相次ぎました。経営者による「極端な利益優先」と経営者の決定・指示という「権威(上司)への服従」が、違法行為を引き起こしてしまいました。なぜ、「ふつうの社会人」が組織の一員であることで犯罪にかかわってしまうことになるのでしょうか。

「ふつうの社会人」が犯罪を犯してしまうのはなぜか

本間 一般論として、企業組織での犯罪は大きく2つに分けられます。

日本女子大学人間社会学部教授。専攻は、社会心理学、集団心理学。著書に『組織性逸脱行為過程―社会心理学視点から
(写真:大槻純一、以下同)

 一つは「職務犯罪」と言われるもので、一言で言えば、企業に損失をもたらすもので、被害者は企業で加害者はその社員です。たとえば企業の社員が会社の経費を私的に横領するようなケースで、発覚しても企業が当該社員を処罰して、刑事告訴することで対応できます。

 もう一つは「組織性犯罪」、いわゆる組織ぐるみ犯罪と言われるものです。これは社会に損失を与えるもので、加害者は企業などの組織、被害者は社会です。なかなか発覚しにくく、たとえ組織内部で不正だとわかっていても、外部に出るのは、内部告発などで明らかになることがしばしばです。それは企業の利益のために行われているからです。極端な利益主義を優先させようとして、不正に目をつぶるようになってしまいます。

 職務犯罪は個人的な事情が原因となって起こるのに対し、組織性犯罪は個人の性格などよりも、その組織の一員であるゆえに生じる点に特徴があります。私はこの組織性犯罪を研究しています。

 組織性犯罪について初めて言及したのは、米国の犯罪学者エドウィン・サザーランドです。サザーランドは「ホワイトカラー犯罪」と呼びました。この種の犯罪は社会的地位の高い企業人(ホワイトカラー)によることでこう呼びました。

 組織の外ではどこにでもいる良き家庭人・社会人であり、普段は社会の規範・ルールに則った行動をする社会に適応したパーソナリティの持ち主。そんな「ふつうの社会人」が犯罪を引き起こすのは、その人の個人的な特性が原因だとするより、むしろ、組織と個人の関係性が犯罪に導いている、と捉えます。そこから、組織性犯罪の発生原因として、個人と組織との関わりが重要な点として浮かび上がってくるのです。

 企業では、課長や部長などの役職によって業務内容が決まっています。役職に就いたことによってその責務を果たそうとした結果、法令に違反してしまうことが起こってしまう。実は組織性犯罪では、こうしたケースがもっとも多いのです。

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