「「未来の仕事」を考える」

「いいかげん」でなく、「好い加減」な組織

良き仲間と楽しい企みを続けたい

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2009年10月15日(木)

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 前回の「月3万円の仕事を10個持つ生き方」は、読者の皆様にとても大きな反響をいただきました。ありがとうございます。

 寄せられたコメントの中に、「月30万円×10個の仕事じゃ、年収はたったの360万円じゃないか」というご意見もありました。360万円という数字は、確かに人によっては少ないと感じるかもしれません。が、例えば、夫婦2人であれば十分楽しく暮らせる数字ではないかと思います。

 もちろん、休暇のたびに海外旅行に出かけたり、高級レストランで外食したりするわけにはいきません。その代わり、ボロ車で国内を旅したり、野菜を自分で育てて自分で調理したりすれば、出費をぐっと押さえながら楽しくて充実感のある生活を送ることはできると私は考えます。

 高級レストランと、自分で育てた野菜を自分で調理した料理、どちらが豊かなのかを一概に決めることはできませんし、子供がいたりすれば状況は変わってくるのでしょうが、「360万円の収入=貧しい生活」と決めつけてしまうのは少し残念な気がします。

きっかけはマネることから

 さて、前置きが長くなりましたが、私は4年半前にソウ・エクスペリエンスという会社を設立し、現在も代表を務めています。まだまだ胸を張って「未来の仕事」と言えるような事業や働き方ができているわけではありません。

 ただ、自分なりに「これからのあり方」を模索しながら、前進していこうと日々を過ごしています。今回は、私が経営するソウ・エクスペリエンスの取り組みを紹介することで、読者の皆様が「未来の仕事」について考えたり始めたりする際のアドバイスになればと思います。

アドバイスその1 マネすることを厭わない

 ソウ・エクスペリエンスの主力業務は、体験ギフト事業です。時計やお皿、洋服や食べ物などのモノではなく、スパや陶芸体験、乗馬のレッスンやクルージングなど素敵な体験や思い出をギフトという形で販売しています。ギフトメニューは100種類以上を用意しています。

 この体験ギフトを贈られた人は、メニューの中から希望の体験を選び、同封のチケットを使って予約します。後は、実際の体験を楽しむだけ。主に個人間の誕生日プレゼントや結婚祝い、もしくは法人のプレゼントキャンペーンなどでご利用いただいています。

 この事業を始めたきっかけは、イギリスにあります。私は大学を卒業してから、「どんな事業を仕掛けようか」と四六時中、起業のネタを探していました。ネットサーフィンをしていて、偶然見つけたのが体験ギフト事業だったのです。イギリスではExperience Gift(エクスペリエンス・ギフト)とか Experiential Gift(エクスペリエンシャル・ギフト)とか表記されていました。

 いったんキーワードさえ分かってしまえば、後は簡単です。ネット上からイギリス国内における体験ギフト業者の数や市場規模、販売チャネルや購買層など、おおむね調べ上げることができました。そのうえで日本国内を見回してみると、両親に旅行をプレゼントしたりレストランでご馳走したりすることはあっても、もっと気軽に安心して体験を贈れる商品やサービスはありませんでした。

 何よりも「体験を贈る」という行為がとても豊かでチャーミングだなと思い、最初に手掛ける事業として体験ギフトにチャレンジしようと決めました。初回にも書いた通り、未来の仕事とは必ずしもエコやIT(情報技術)、宇宙やロボットとは限らないのです。

 要するにマネをしたわけですが、「どうせマネるのなら、とことん先行事例を調べあげよう」ということで、イギリスから実際の商品を取り寄せたり、イギリスに住んでいる友人にヒアリングしたりしました。完成度の高さを目の当たりにして打ちひしがれることもありましたが、やはり何事も新しく始める際には「マネ」こそ、まずやるべき基本中の基本ではないかと思います。スポーツや楽器と同じですね。

 似たようなエピソードをもう1つ紹介しましょう。ソウ・エクスペリエ ンスを設立した直後に取引先と交わすための契約書です。実は、ネット上から似たような書類を見つけてきて、私たち素人集団で適当に書き換えた契約書を使用していました。

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著者プロフィール

西村 琢(にしむら・たく)

西村 琢ソウ・エクスペリエンス社長。1981年東京生まれ。2004年3月に慶應義塾大学経済学部を卒業。在学中の2003年、松下電器産業(現パナソニック)の事業プランコンテストで優勝、出資を受ける権利を得るが、起業の道を選び、2005年にソウ・エクスペリエンス(東京都渋谷区)を設立。体験型ギフトを販売するウェブサイト「ソウ・エクスペリエンスギフト」や、体験レポートを共有できるウェブサイト「エクナビ」などを手掛けている。



このコラムについて

「未来の仕事」を考える

業績向上や株式公開といった目標達成を第一義として、一直線に突っ走るだけがベンチャーの成功なのか。「規模の拡大=仕事の充実」という従来の価値観に一石を投じる企業が密かに登場している。どんな会社が、どんな事業を、どんなスタイルで実行しているのか、ニュービジネスを経営者目線で解説する。

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