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【最終回】再生のカギは“自ら考えて行動する社員”

「ダスキン再生」の課程を検証(後編)

  • 永禮 弘之,秋元 志保

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2009年12月21日(月)

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 今回も前回に引き続き、家庭用モップ・マットのレンタル、ミスタードーナツ事業などをフランチャイズチェーン(FC)展開している株式会社ダスキンの伊東会長による「ダスキン再生」の取り組みを紹介します。前回は、ダスキンのFC事業のビジネスモデルや、経営理念を軸にした不祥事からの再生を取り上げました。今回は、伊東会長に経営者の覚悟と、組織改革のあり方について聞きます。

【会社概要】
株式会社ダスキン
1963年創業。東証1部上場。家庭用モップ・マット、業務用品・家庭用品のレンタル、ミスタードーナツなどの事業をFC展開し、日本のFCビジネスの草分け。売上高1885億円、経常利益144億円、社員数1987名(2009年3月期、社員数を除き連結ベース)。創業者、鈴木清一氏が「道と経済の合一」を目指す「ダスキン祈りの経営」を提唱。

経営者は覚悟して決めるしかない

伊東 英幸(いとう・ひでゆき)氏
株式会社ダスキン 代表取締役会長
1943年生まれ。68年株式会社ダスキン入社。87年経理本部予算管理部部長、94年生産本部管理本部本部長、99年取締役支社運営本部本部長に就任。2002年常務取締役クリーンサービスカンパニーカンパニー社長を経て、同年11月代表取締役社長に就任。2009年4月、代表取締役会長就任。現在に至る

 部長、本部長の時と社長になってからを比べると経営の視点が変わりました。本部長の時は担当責任者であるため、どうしても目標設定が甘かった気がします。自分の担当部門だけを理解して目標を決めてしまいがちでした。

 けれど、社長は会社全体のことを考えて物事を決めなくてはなりません。当たり前の話ですが、立場が変わったことで、より全体を見て決断するようになりました。本部長の時でも経営者的視点をもっと持つべきだったと、今では思っています。

 また、リーダーシップを発揮する部分と、権限委譲で社員たちに自ら考えて行動してもらう部分のバランスは、常に意識しています。権限委譲した事項について、担当者の意見を聞かずにイエス、ノーは言いません。

 一方で、会社の代表としてどんなことにも責任を取る覚悟はしています。改革を進めるには、組織のしがらみや過去のご縁など、これまで築いてきた人間関係を考えるとためらうこともありますが、再生するためには一歩踏み出す覚悟が必要でした。

 経営者は、組織の方向性や戦略を示す、経営資源を配分する、ステークホルダー(組織を支える関係者)への説明責任を果たす、組織マネジメントの仕組みを根づかせる、後進を育てる、といったさまざまな役割を担っています。

 それらのさまざまな役割を果たすために共通して求められる行動が、組織の最終意思決定をし、結果責任を負うことです。

 では、いろいろなしがらみを絶って意思決定するには、経営者はどうしたらいいのか。経営者は、常に倒産リスクを考えて決断することが求められるのではないでしょうか。会社が倒産すると、社員は職を失い、顧客はサービスや商品の提供を受けられなくなり、経営者の生活は日本では公私共に破滅します。

 経営者は、倒産という最悪の事態を避け企業を存続させることが自らの責務だということを常に肝に銘じて、企業が存続するにはどうしたらいいのかという軸で、経営判断をしていくのです。企業の存続にとってしがらみが邪魔であれば、断ち切るしかありません。

 当たり前のことのように聞こえるかもしれません。しかし、日本の大企業のサラリーマン経営者の中には、企業の存続ではなく、過去からのしがらみや自分の体面を優先している人が少なくありません。

 昨今の日本航空(JAL)の混迷を見ていると、「しがらみ」の怖さをしみじみと感じます。

 地方自治体が国からの補助金と地域振興を目当てに空港をつくれば、国営会社時代からのしがらみで、どんなに利用客が少なくても、飛行機を飛ばしてしまう。採算の悪い路線を縮小しようとすると、地元の利益代表である国会議員や自治体の幹部の横やりが入る。賃金を下げたり、人員を減らしたりしようとしても、日本エアシステム(JAS)との合併で8つにふくれた企業内組合との交渉や利害調整で、なかなか前進しない。

 国営会社時代からのしがらみにがんじがらめになってしまったことが、JALの経営破綻の真の原因ではないでしょうか。

 日本企業の有価証券報告書の事業概況の欄で、業績悪化の原因について言及するときに、環境変化の言い訳から始めるものが多いことに、サラリーマン経営者の逃げ腰を感じます。業績悪化の原因は、変化が起きたこと自体ではなく、変化に自社が適応できなかったことです。そして、その責任は、日々の業務や事業上の判断をする社員ではなく、組織全体の最終意思決定を行なう経営者にあります。

 中小企業であれば、業績が悪くなれば、銀行からの融資が滞り、取引先が離れ、倒産するリスクに直ぐにさらされます。会計年度終了後に環境変化の言い訳を考え、堂々と公表するという、当事者意識が薄い発想は生まれません。

 昨今のような厳しい時代には、企業の存続を賭けて、経営者は覚悟をもってしがらみを断ち切り、意思決定することが求められるのではないでしょうか。

誰に対しても軸はぶらさない

 現在は会長としてダスキンの経営に関わっていますが、担当役員には「軸がぶれない」経営を目指して欲しいと願っています。会社には、株主や取引先、加盟店などさまざまなステークホルダーがいます。当然ながらそれぞれに主張したい意見を持っています。

 それに対して「ダスキンの軸はこれです」と、ふらつくことなく実行していかなければいけません。

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