「はらドーナッツ」という名前を聞いたことがありますか?
その名の通り、ドーナツを製造販売している店舗ですが、この数年で急速に店舗数を増やしていて、現在日本全国に25店ほどがあるようです。
神戸にある「原とうふ店」の豆乳とおからを、ドーナッツの原材料に使用しているのが一番の特徴です。素朴でどこか懐かしい味わいや見た目も、人気の理由となっているのでしょう。
そして、もう1つ、「ポタジエ」というケーキ店の名を耳にしたことがあるでしょうか?
こちらは東京の中目黒に1店あるだけなのですが、メディアへの露出が極めて多く、店はいつも大勢のお客さんで溢れています。
ポタジエで提供しているのは、なんと「野菜のスイーツ」です。いちごの代わりにプチトマトが上に乗ったショートケーキや、ごぼうが入ったガトーショコラ、さといも入りのロールケーキなど、思わず目や耳を疑ってしまうようなラインアップです。
「自らを許す」という理由づけ
どちらも、甘いもの好きの間では有名なようですが、その共通項は何でしょうか?
そうです、言うまでもなく「安心」や「健康」という、時代が要請するキーワードを、そのコンセプトや実際の商品特徴に包含していることです。
それぞれのウェブサイトには、次のようなメッセージが掲げられています。
はらドーナッツ
・私たちは、食品作りの基本である「美味しく、健康で、安心して食べていただける」というシンプルなコンセプトが目標です。防腐剤や保存料は一切使用いたしておりません。
・品質管理をした厳選素材を使う為、直営店でのみ販売しております。神戸市湊川の「原とうふ店」が作る高品質のオカラ・豆乳は、毎日それぞれの直営店へ直送して、鮮度を保っています。
ポタジエ
・ポタジエでは、『安全で、おいしくて、からだにもやさしいスイーツ』を皆様にお届けするために、スイーツの素材にこだわっています。野菜は全て国産にこだわり、また、できる限りオーガニックや無肥料無農薬の自然農法のものなどを厳選して使用しています。生産者である農家さんたちが大切に育ててくれた、愛情と栄養いっぱいの野菜を味わってください。
食品の分野では、安心や健康を訴求することは、いまや当然ですから、ヒットの理由がそれだけと結論づけてしまっては、何も語っていないのと同義です。これらのケースから読み取れることを、もう少し考えてみたいと思います。
「健康」や「安心」という価値は、お茶やヨーグルトなど、そもそも健康イメージの強いカテゴリーと相性が良いのはもっともです。しかし、それに加えて、「健康価値は、体に悪そうな商品カテゴリーにおいては、爆発的な効果を発揮することがある」ということが言えるのではないでしょうか。
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