「食欲に透ける“建前と本音”学」

「押し付け」ではコミュニティは生まれない――勘違いだらけのカフェビジネス

商業開発プロデューサーの入川秀人氏に聞く(その1)

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2010年6月23日(水)

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 皆さんは普段、「カフェ」を利用していますか?

 と質問を投げかけておいてなんですが、ここで言うカフェに、厳密な定義があるわけではありません。

 1980年代から1990年代初頭に「カフェバー」と呼ばれたような“オシャレ”な店が六本木や西麻布、渋谷辺りにあったようですが、そんな一部の気取った店を指しているわけではありません。かと言って、昔ながらのいわゆる「喫茶店」のことでもありません。

 昼から夜遅くまで営業をしていて、お茶も飲めて、スイーツも食べられて、食事もできて、お酒も飲めて・・・、こんな気軽な飲食店の形態全般を指すと考えてください。

 1990年代半ば頃から、情報に敏感な若者を中心にじわじわと人気を集めています。最近では若い世代の間で「カフェめし」という言葉が生まれたり、あるいは「いつか自分のカフェを開きたい」という若者の夢を耳にする機会もあったりして、「カフェ=クリエイティブな若者のためのもの」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

 外食産業において、カフェというのは異質な存在です。スターバックスやドトールのような「コーヒーショップ」は、チェーンストアビジネスの雄として強い存在感を示しています。これに対して、「カフェ」はビジネスとは縁遠いことが一般的です。実際にカフェを主体として大きく成長している企業は、あまり見当たりません。

 そもそもよく考えてみると、カフェというものは商売として矛盾をはらんでいます。カフェの魅力と言えば、「ゆったりできること」です。しかし、カフェでは来店客はコーヒー1杯でもよくて、それで長く時間を過ごしてもらおうというわけですから、客単価は決して高くありません。

カフェで儲けるのは難しい

 飲食店とは、「客単価×客数」という単純な数式で、その売り上げが決まります。そして乱暴に言うならば、「高い単価×少ない客数」か、「低い単価×多い客数」のいずれかに分類することができます。前者は寿司屋やフレンチレストラン、後者はファストフードをイメージしてもらえれば、ご理解いただけると思います。

 そんな中、カフェはと言うと、「低い単価×少ない客数」という構造ですから、純粋にビジネスとして考えると、おかしなことになっているわけです。ですから、「若者のための店」というイメージ上の問題に加えて、ビジネス的な観点から見ても、カフェという存在が多くのビジネスパーソンからあまり注目されないのも、もっともなことと言えます。

 しかし、そんなカフェを通じて、非常に意欲的な取り組みをしている1人の人物がいます。それが入川秀人さんです。

 入川さんは数多くのカフェをプロデュースしてきた人物ですが、店作りに関する独特の方法論や、地域活性化の視点、さらには大手企業を巻き込むスタイルなど、ビジネスの観点から見ても、非常にユニークな活躍をされています。

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著者プロフィール

子安 大輔(こやす・だいすけ)

子安 大輔カゲン取締役。1976年生まれ。東京大学経済学部卒業後、博報堂に入社し、飲料・食品・金融などのマーケティング戦略立案に従事。2003年、飲食業界へ転身。2005年に飲食店のプロデュースやコンサルティングを手がけるカゲン(東京都世田谷区)の設立に携わり、取締役就任。起業や独立などのための専門スクール「スクーリング・パッド」(東京都世田谷区)設立にも関わる。2009年、『「お通し」はなぜ必ず出るのか ビジネスは飲食店に学べ』(新潮新書)を上梓。



このコラムについて

食欲に透ける“建前と本音”学

食品スーパーや飲食店などが続々と登場しては、次々と消えていく――。食欲は、人々の本能であり、物欲が満たされつつある現在、「食」に対する関心と期待は高まる一方だ。そこで、「食」を通じて垣間見える、世の中の事象、そしてその背景にある人々の微妙な心理を取り上げる。人間の“欲”の本質を探ることで、マーケティングのヒントを得られる「視点」を提示していく。

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