(「『押し付け』ではコミュニティは生まれない」から読む)
(「地域住民の日常に寄り添うから存在意義がある」から読む)
これまで2回にわたって、「カフェ」について入川秀人さんにお話をうかがってきました。
カフェと言うと、コーヒーを飲んだりケーキを食べたりするだけの、飲食店の1つのジャンルに過ぎないと一般的には思われがちです。しかし、入川さんが実際に手掛けた事例を見ていくと、カフェとは、飲食の場という存在をはるかに越えて、人々の生活に密着していることが分かります。さらには、ビジネスとして興味深い可能性を持っていることも見えてきました。
今回はそれを踏まえて、カフェが「社会」や「時代」とも密接に結び付いているということについて、考えていきます。
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子安 大輔(以下、子安) 「カフェ」というのは飲食店でありながら、他業種と融合することができて、とても「広がり」を感じます。ほかにもカフェの可能性を広げるようなプロジェクトはありますか?
入川 秀人(以下、入川) 実は今、すごく面白い案件に関わっていますよ。それは「カフェ・レジデンス」というものです。
マンションの1階は悩みの種
子安 カフェ・レジデンス? レジデンスということは「住居」ということですか?

入川スタイル&ホールディングス代表取締役/チーフプロデューサー。1957年、兵庫県生まれ。2005年に入川スタイル研究所(東京都渋谷区)を創業、2007年より現職。現在は、生活スタイル研究所(東京都渋谷区)の取締役会長も務める。事業開発から業態開発、街づくり、企業ブランディングまで、幅広い分野を手がけており、特に東急沿線の都市開発やTSUTAYA TOKYO ROPPONGI、外苑銀杏並木入口にあるRoyal Garden Cafeの店舗プロデュースなどで評価を獲得。
入川 そうです。マンションの1階部分にカフェがあることを前提として、すべてを組み立てていくという新しいタイプの建物です。
マンションの1階ってデベロッパーにとっては、悩みの種なんです。そもそも1階に住みたい人は普通いませんし、管理人室だとか、駐輪場だとか、集合ポストだとか、いろいろなものを設置しなければいけません。
子安 言われてみれば、確かにそうですね。これが繁華街にある商業ビルであれば、1階の賃料が最も高いのが普通です。
入川 そうです。建物において1階とは本来利便性が優れている場所にも関わらず、マンションの場合はそこが“死んで”いるんです。人通りの多い立地ならば、その部分にはテナントとしてコンビニエンスストアに入ってもらうこともあるでしょうが、できてもそれが精一杯でしょう。
そこで考えたのが、現在は活用できていない1階部分をカフェにしてしまうという計画です。これができると、デベロッパーにとっては新たな賃料が入ってくるわけで、すごくありがたい話です。
そして、カフェは通常の飲食店としての営業だけではなく、マンションの共用部の清掃や管理業務の一部までを引き受けることにします。これらはビルマネジメントやプロパティマネジメントと呼ばれる領域ですが、それを担当することで、カフェは新たな収益源を得ることになります。
そして、肝心のマンションの住人にとっては、いつでも飲食ができるというメリットがあるのはもちろん、1階が明るく開放的な雰囲気になり、また常に人がいることで安心感も得られます。部屋までメニューをデリバリーしてくれたら嬉しいでしょうし、顔見知りのカフェスタッフがマンションの廊下を笑顔で掃除していたら気持ちいいですよね。
子安 自分のマンションの足元に、いいカフェが入っていたら、すごく嬉しいです。賃料とか購入価格に、少しくらいプレミアムがついてもおかしくないように思います。
入川 カフェはこんなふうにして、やり方次第ではじわじわとその存在感を高めることができると思います。実数においても、この数年で「カフェ」はいわゆる「喫茶店」を追い抜くはずです。
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カゲン取締役。1976年生まれ。東京大学経済学部卒業後、博報堂に入社し、飲料・食品・金融などのマーケティング戦略立案に従事。2003年、飲食業界へ転身。2005年に飲食店のプロデュースやコンサルティングを手がけるカゲン(東京都世田谷区)の設立に携わり、取締役就任。起業や独立などのための専門スクール「スクーリング・パッド」(東京都世田谷区)設立にも関わる。2009年、『







