「食欲に透ける“建前と本音”学」

「ずらし」は、定番商品の王道テクニック

スーパードライ、ミルミル、食べるラー油に学ぶ発想術

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2010年7月21日(水)

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アサヒビールが期間限定で銀座にオープンした「エクストラコールドBAR」。氷点下のビールを味わうことができる

 夏の暑さが続いていますが、その分キンキンに冷えたビールが一層おいしく感じられます。

 さて、銀座で5月にオープンしたある飲食店に連日行列ができています。その店とは「エクストラコールドBAR(バー)」。アサヒビールが8月末までの期間限定で運営をしています。

 この店の特徴は何と言っても、「氷点下のビール」が飲めることに尽きます。アサヒビールの主力商品である「スーパードライ」をマイナス2〜0度で提供できる特殊なビールサーバーを設置していて、キンキンを超える“ギンギン”に冷えたビールを楽しむことができるのです。

 たった1軒の飲食店の話ではありますが、実はここにアサヒビールの戦略が凝縮されています。

特殊なビールサーバーで、“ギンギン”に冷えたビールをついで楽しめる

ターゲットやポジションを変える

 スーパードライは発売から既に23年が経っていますが、発泡酒や第三のビールの登場以降、その影響を大きく受け、売り上げを落としています。過去最高の売り上げを記録した2000年と比較して、35パーセント近くも数字を落としていますから、状況は深刻です。また、ブランドを支えるユーザーも高齢化が進んでいており、若年層の取り込みが喫緊の課題になっているわけです。

 最近のテレビコマーシャルを見て、これまで長年続けてきた「いかにもスーパードライ」という硬派な広告とは異なるテイストを感じた方も多いのではないでしょうか。そして同時に、このエクストラコールドを「新しいビールの飲み方」として提案し、イメージの刷新を図っているのです。アサヒビールとしてはこの特殊なサーバーの普及に今後注力していくようです。

 一方、ヤクルトが販売する「ミルミル」という商品に関しても動きが見られます。私自身も気づいていなかったのですが、1978年発売のこのロングセラーブランドも、売り上げの大幅減少を理由に2005年には販売休止に追い込まれていたのです。

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著者プロフィール

子安 大輔(こやす・だいすけ)

子安 大輔カゲン取締役。1976年生まれ。東京大学経済学部卒業後、博報堂に入社し、飲料・食品・金融などのマーケティング戦略立案に従事。2003年、飲食業界へ転身。2005年に飲食店のプロデュースやコンサルティングを手がけるカゲン(東京都世田谷区)の設立に携わり、取締役就任。起業や独立などのための専門スクール「スクーリング・パッド」(東京都世田谷区)設立にも関わる。2009年、『「お通し」はなぜ必ず出るのか ビジネスは飲食店に学べ』(新潮新書)を上梓。



このコラムについて

食欲に透ける“建前と本音”学

食品スーパーや飲食店などが続々と登場しては、次々と消えていく――。食欲は、人々の本能であり、物欲が満たされつつある現在、「食」に対する関心と期待は高まる一方だ。そこで、「食」を通じて垣間見える、世の中の事象、そしてその背景にある人々の微妙な心理を取り上げる。人間の“欲”の本質を探ることで、マーケティングのヒントを得られる「視点」を提示していく。

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