• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

意地っ張りな女

  • 遥 洋子

バックナンバー

2006年6月9日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 働く女性を見ていて、「意地っぱりだなぁ」と思う時が少なくない。それは度を越すと、同じ働く女の私でも辟易とすることがある。

 大手家具店に行った時のことだった。私が欲しかったのはそこのオリジナルのオプション家具だった。だが肝心の展示がない。「どこでその家具の展示が見られるのか。見られないのなら、どんなオプションが可能か教えてほしい」とある店員に聞いた。

 質問しながら、これは少し難しい質問だな、と自分でも思った。「○○はありますか?」だったら、店員は「ありません」で済む。最近は、そういったシンプルな会話形態が最もノーマルで無難のようだ。少し複雑なメッセージを届けると、途端に機能不全のようになるのを何度か見てきた。

客を無視して電話し続ける女

 最初に対応したのは青年だった。私の質問にニコッと微笑み「少しお待ちください」と言って去った。10分ほど待つと若い女性が出てきた。その女性もまた「少しお待ちください」と言い、私の目の前で他店に問い合わせの電話を始めた。

 私は自分の中で少しずつ血圧が高くなるのを感じていた。その女性の対応すべてに「違う」と感じたからだった。

 まず私の質問に一切の確認をしていない。おそらくその女性は私の要望を正しく理解しないまま、それに気づきもせず行動を始めたであろうことが予測できた。女性は声が小さかった。モソモソとゆっくり喋り続け、やがて電話は20分を超えた。話しが長くなると、その女性は相手を急かすことなく、カウンターに体重をもたせかけ、電話のコードを人差し指でくるくるともてあそび始めた。

 私は何にここまで苛立つのか考えてみた。目の前の客がどういう思いで自分と向き合っているか。自分が今やっている行為が客にはどう映るか。その女性の、それらを察知する能力の希薄さに対してだった。

 どの音量の声で喋るか、から、どこを見るか、に至るまで、実は我々は無意識に多くの判断力を駆使している。場を読む、空気を見る、というアレだ。

 それらが欠落すると、苛立ちを隠さない客の前で、指で電話のコードをもてあそべる感性が出来上がる。

 私は、今度は「どこでこの家具の展示が見れるか、聞いてみてくれる?」と質問をひとつに絞り、青年に聞くことにした。青年はニコッと微笑み「はい」と答えた。すると、その女性店員が電話の途中に「それは今私がやってるから」と青年を制止した。

 私はそこにその女性の意地のようなものを感じた。だがまた女性はくるくると電話線をもてあそんでカウンターにもたれかかった。30分が経った。私は青年に「ここの責任者を呼んでくれる?」と聞いた。これなら簡単な用事だ。青年はニコッと微笑み「はい」と答えた。そして、おそらくまた10分ほども帰ってこないのだろう。

 私は右の方向に走ろうとする青年を止め、「ひょっとして、あの人が責任者じゃないかしら?」と逆の左側に立つ男性を指差した。青年はニコッと微笑み「そうです」と言い、呼びに走った。

 なぜ走り出す前に、責任者を目で探そうとしないのか不思議だった。

 責任者は年配男性だった。私の表情を見るなり恐縮し強張った表情で近づいた。それほど怒り心頭の表情を私はしていたことになる。そんな表情の客をまったく意に介さず電話する店員の前で私は「すべてが遅すぎます」と責任者に怒った。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トップ自らが矢面に立つことで、問題は次第に収束していきました。

佐々木 眞一 日本科学技術連盟理事長、トヨタ自動車顧問・技監