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お天道様に守られている人(その1)

松井証券社長・松井道夫 ――天性の「天の邪鬼」(1)

  • 高橋 三千綱

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2006年6月14日(水)

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 松井道夫さんは、天の邪鬼である。彼を突き動かしている両輪のひとつが、生まれ持っての、天の邪鬼精神なのである。

 彼の一見理解不能な言動、突拍子もない行為、そして、人によっては潔いと思える行動の背後には、天の邪鬼が張り付いている。彼の腹を輪切りにして覗き込めば、身体の底に潜んで、ぎろりと目を剥いている青白い鬼と視線が衝突するはずである。

 そういうものが棲みついていると知らない人は、道夫さんと付き合うのは苦労することだろう。道夫さんと対面したあとで、あの天真爛漫さにはついていけない、と便所で嘆息して帰途につくことになるかもしれない。

 だがなに、実はそうむつかしいことではない。それが、彼を彼たらしめている個性なのだ、と分かれば、これほど面白い人はいない。しかしそこでは、互いの感性が交差することが必然だ。そこに、勝負の行方を決する過酷さが、さりげなく、見え隠れしながら存在する。

松井道夫氏
松井 道夫(まつい・みちお)氏
1953年3月長野県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本郵船に入社。86年に松井証券のオーナー社長の一人娘と結婚、87年に同社に入社した。常務取締役営業本部長などを経て、95年から現職。株式委託手数料の大幅引き下げや、インターネット取引への特化などで、中小証券だった同社を個人の株取引でトップクラスに押し上げた。

 もともと道夫さんは目立たない少年だった。生まれたのは母の故郷である上高地の山麓の村だが、育ったのは東京だった。道夫さんの元もとの苗字は務台というのだが、区立滝野川小学校時代の務台道夫を覚えている同級生はあまりいない。それは、務台少年が、いつでも人の後ろに隠れていたからだ。

 「目立つのが面倒くさかった」

 大抵の人は目立つこと、つまり脚光を浴びることに快感を覚えるものだが、目立ちたくないと思い込むところに、道夫少年のひねくれぶりが現れている。あるいは、当時から目の前の光景を突き抜けた、もっと大きなものを夢見ていたのかもしれない。

 その道夫少年が証券会社の社長となり、インターネット株取引の先駆者として名を上げだした頃のテレビCMに、ほのぼのとしたものがある。たとえば、古い日本家屋の居間で老夫婦が株の売買について話している。そこから見える内庭では、庭師が松の木に鋏を入れている。その紺の股引を穿いたあやしげな庭師が、松井道夫さんなのである。

 こういうシーンを見て、私はこんな会話を想像した。

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