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【談話室たけくま】蛙男商会、ガンダムに勝つ!
〜蛙男商会(その1) 

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2006年6月30日(金)

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 「談話室たけくま」へようこそ。コミック、映画、アニメーションなどの分野でディープな活躍を続ける編集家、竹熊健太郎氏をホスト役に迎え、彼が注目しているクリエイター、識者と対談してもらう不定期連載企画です。新しい才能の面白さと、それを世に出し、ビジネスとして成り立たせていく仕組みについて、活字媒体ではあり得ない(であろう)長さと深さで語り合います。

 深夜枠ながら、あのガンダムに“勝った”アニメがある。

その名を「THE FROGMAN SHOW」(テレビ朝日・朝日放送系列)と言う。

 30分枠に「秘密結社 鷹の爪」「古墳GALのコフィー」の2本立で放映され、最終回(6月14日放映)に至る1カ月間の視聴率は、平均で1.4%、関西では2.1%。裏番組「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」の再放送(関東で1.0%)を上回った。さらに、この番組が「筑紫哲也 NEWS23」(TBS系列)スタッフの目に留まり、レギュラーコーナー(関東ローカル枠)を獲得、6月16日から月1回で放映を開始している。

 アニメ番組1シリーズの制作には、延べ130人余りのスタッフが関わるとされる(※)。ところが、この「THE FROGMAN SHOW」は、監督・脚本はもちろん、作画・声優の大半まで作者のFROGMAN氏が1人でこなしている。延べ制作人数も全11話で両手で数えきれる規模。ビジネスとしての「軽さ」が予測できるだろう。それなのに再放送とはいえ、ガンダムを押さえる視聴率を稼いだ理由はどこにあるのだろうか。

鷹の爪

 秘密は「ウェブアニメ」にある。インターネットで個人が制作・公開していた動画作品が、テレビアニメの世界に流れ込みだしたのだ。

 作者のFROGMAN氏は、「蛙男商会」を名乗り、ウェブアニメ「菅井君と家族石」を個人サイトで公開して1日4万ヒット以上を記録、ホームページだけで告知したDVDを、5000枚売り切った実績を持つ。

 作品のテイストは「動かない、素人声優、馬鹿すぎる、手作り感満載」という、従来のテレビアニメの常識のことごとく逆を行くもの。絵柄も上の通り、いわゆる“萌え絵”の対極だ。

 ウェブアニメで培われた才能は、いかにしてインターネットからリアルの世界に出たのか。FROGMAN(株式会社蛙男商会 代表取締役会長)氏本人と、仕掛け人であるディー・エル・イー(以下DLE) 椎木隆太社長を「談話室たけくま」に迎え、編集家・竹熊健太郎がじっくりと聞き出します。

(※ 経済産業省商務情報政策局編「コンテンツ・プロデュース機能の基盤強化に関する調査研究 アニメーション製作」より)


竹熊 納期や費用の関係で、作画枚数を減らしたアニメというのはこれまでもありましたが、FROGMANさんの手法くらいになると、従来のアニメの感覚では“手抜き”と言われてもおかしくないわけですよね。ところが、見た人は誰一人“手抜き”とは言わない。なぜなら面白いからです。

 これほど動きを切りつめて、それでも面白い作品が成り立つということは、「枚数が多いほど質が高い」という、アニメの概念が崩れちゃうわけだから、衝撃的ですね。

初めて「蛙男商会」を見た衝撃

椎木 2005年にDLEで制作スタジオを立ち上げるに当たって、ウェブアニメの世界で活躍している個人作家さんの作品をたくさん見ましたが、やっぱり蛙男商会はあらゆる意味で際立っていたんです。僕自身、何度も笑わせてもらいましたし、中毒性というか、本当にヘタウマの面白さ…。

FROGMAN(以下F) ヘタだけじゃなくて、ウマもあるかどうか分かりませんけどね(笑)。

椎木 いや、現在のアニメ業界って、リアリズムを変に求めちゃってるでしょう。よりファンに驚きを与えたいという思いから、どんどん進化してしまい、後戻りができないんですよ。予算がいくらかかったとか、そういう大作志向ばかりがキーワードになっている。

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著者プロフィール

竹熊 健太郎(たけくま けんたろう)

竹熊 健太郎

1960年東京生まれ。81年よりフリーで編集・文筆活動に従事。主な活動ジャンルは、マンガとアニメーションを中心としたサブカルチャー領域。2003年4月より、多摩美術大学共通教育で「漫画文化論」非常勤講師を務める。桑沢デザイン研究所で06年4月より「キャラクターメディア研究」ゼミ講師(森川嘉一郎、伊藤剛と共同)。ブログ「たけくまメモ」はこちら



このコラムについて

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 「ユーザーの顔が見えない」と言われる中で、自分自身の思い入れを武器に成果を上げている人々がいる。いわく言い難い個人の熱意(X)を、ビジネスとして組み立て、市場にいる買い手に思いの丈を伝える(EXPRESS)工夫を、本人へのインタビューを中心に、所属する組織や、市場規模の大小に関わらず紹介する。

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