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男が女に支払う慰謝料

  • 遥 洋子

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2006年7月14日(金)

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 昔、講演会場でのサイン会のとき、ご夫婦連れがここぞとばかりに私に相談を持ちかけた。

 「夫とは結婚してからもずっと完璧に家事を分担してきました。でも、妊娠してみて、問答無用の不平等さを感じます。どうしたって女性のほうがしんどい。妊娠だけは夫と分担できない。他のものは全部分担できるのに。どうしたらこの悔しさを解消できるでしょうか」というものだった。

 見ると女性のお腹は目立つほど大きかった。夫は妻の訴えを聞きながら、なんとも居場所のないような表情をして立っていた。

 私の経験では、こういう男女平等を実践するカップルに多いのが、知的好奇心旺盛で意欲的な元気な妻と、穏やかで人のよさそうな夫のカップリングだ。

 女性なりによい夫婦関係を築こうと日々、一つ一つの家事に対して、あるいは、議論をする時の男女の立ち位置など(往々にして議論すると女性が折れたり、夫が放り投げたりすることが多い)、どちらかに不公平感がないように神経を砕いてきたであろうことが、その女性の口ぶりや表情からうかがえた。

 その努力が大きいほど、妊娠という女性にだけのしかかる負担に、歯軋りする思いだろうことは理解できる。女性が訴える間、夫はひとことも口を挟めなかった。「私だけが辛いのは悔しい」と責められたとき「そんなこと言われたって・・・」と途方に暮れる男性像が浮かび上がった。

 私は少し考えて、言った。

 「夫から慰謝料をもらいましょう」

 女性はきょとんとして言った。

 「お金ですか」

 「はい。お金です。生活費以外の。人は理屈で割り切れない感情のときや、何をもってしても補えない事態に陥ったとき、それが最善ではないにせよ、とりあえずそれしか誠意を表すものがないという理由で、相手にお金を渡してきました。今回もそのケースだと思います。女だからといって割り切れない。夫に妊娠を半分分けることも不可能。だったらせめてもの悔しさの収めどころとして、お金を夫からもらうのはいかがでしょう?」

 「お金ですか」とまたつぶやく妻のよこで、夫は「そんなことになるの?」という表情で自分の頭を掻いていた。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長