• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

女ひとりの危機を脱出する

  • 遥 洋子

バックナンバー

2006年7月28日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 人生には、「女ひとりだ・・・」と否応なしに思い知らされる時がある。

 突っ張って生きている女ほど、それを感じるときは悔しさとも情けなさとも、なんとも言えない敗北感に見舞われる。それは引越しの時だった。

 東京のマンション暮らしを、ホテル暮らしに変えることにした。「よし、来月からホテルだ!」と決められるのは、誰の機嫌を取らずとも伺いを立てずともよい一人暮らしならではの醍醐味だ。しかしそこでハタと壁にぶつかった。

 東京のマンションにある家財道具一式をどうすればいいのか。引越しならすべてを次の家に運ぶよう引越し屋に頼めばいい。だが、私はすでに大阪に家があり、家具一式は必要なかった。私の場合はいわば“解散”だった。そのほとんどはいらないのだ。

 いらない家具をどうするか、東京の友人たちに片っ端から電話した。だが、誰も家具をもらってくれる人はいなかった。ならば、ネットオークションに出すのはどうかと考えた。だが、一度に全部買い手がつくだろうか。時期がバラバラでは困る。買い手がついたとして、それをいったいどうやって相手に送るというのだ。宅配便も郵便局も、送れるのはダンボール一箱サイズだ。次はというと赤帽とか引越し屋になってしまう。家具屋じゃなけりゃ、素人は家具をいったいどうやって送るのだ? 梱包は? 誰に電話してもその解答はなかった。

 リサイクルショップのチラシは、どこに電話しても電化製品のみ取り扱いだった。じゃ、ベッドやソファーはどうするんだ?リサイクル家具ショップがあったとして、そこまでどうやって運ぶんだ?“女ひとり”で。もう大ゴミに出してやれと思った。しかし、どうやって大ゴミ置き場までソファーを運ぶんだ?“女ひとり”で・・・。

 結局はそこなのだ。どれほど頑張って生きていても、力仕事は女ひとりの手痛さを思い知らせる。それ以外は人生のどの場面でも自分が女であることにほぼ不便を感じることはないというのに。運ぶ腕力がなければ、そこに自分のソファーがあるだけで、女はその場所を永遠に離れられないということか。

 底知れない恐怖がひとり暮らしの夜を襲った。離婚したいのに経済力がないためにその夫から離れられない女の恐怖もこんなものなのだろうかと、想像した。結局、腕力がなくても、経済力がなくても、人はその場から逃れられない。ふと電話帳が目に入った。パラパラとめくっていくと、リサイクルショップの広告がいくつかあった。すがる思いで電話した。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

短期保有者のいいようにさせたら、中長期で保有したいと考えている株主はどうなるのか。

貝沼 由久 ミネベアミツミ社長