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夢を追いかける任侠の人(その4)

日本電産社長・永守重信 ―― 軸足はモーターにあり

  • 高橋 三千綱

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2006年9月8日(金)

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 永守重信さんの人生哲学、その支えとなる信念の多くは、少年時代に形づけられている。

 母の後ろ姿をみて、人の倍働いて、成功しないことはない、ということを知った。母は働きづめに働いて貯蓄し、売りに出ていた田畑を買い取り、小作農から富裕な自作農に家を発展させた人である。

 そして、ステーキを食べる級友の父が「社長」業であることを聞いて、将来は自分も社長になろうと決めた。

 モーターの世界を極めてみようと決めたのも、小学校4年生の時である。

 「そのときの担任がひどいやつだった。えこひいきの多いやつで、ぼくのことを一番馬鹿にしていた」

 算数の時間に問題が出されると、答えのできた生徒が手をあげる。しかし、この担任は重信少年には絶対に当てなかった。

 みんなが解答をあやまり、誰も答えられなくなると、そこで初めて「奥田(旧姓)」と重信少年に当てるのである。

永守重信氏
永守 重信(ながもり・しげのぶ)氏

1944年8月、京都府生まれ。62歳。67年、職業訓練大学校卒業後、メーカー勤務を経て、73年に日本電産を創業。精密小型モーターを主力に80年代から90年代のハードディスク市場の拡大に乗って急成長させた。積極的なM&A(企業の合併・買収)を実施。傘下に収めた経営不振企業を短期間に次々と再生してきた。2010年に連結売上高1兆円を目指す。

 そこで問題を正しく答えると、担任は皮肉ではなく本気でこういう。

 「百姓の子供が、こんなむつかしい問題を解いて何になる」

 とんでもない先生である。重信少年は勉強はできたが、この学年の通信簿は2とか3ばかりだった。戦後、教員の数が不足し、それを補うために精神的に幼稚な人間が代用教員として紛れ込んでいたのである。

 「この野郎がね、今でもこの野郎というんだけど、絶対ぼくのことを褒めなかったそいつが、1度だけ褒めてくれたことがあった」

 理科の実習の時間に、マブチモーターのキットを使ってモーターを組み立てたことがあった。そのとき重信少年の組み立てたモーターが静かで、一番早く回った。

 「おお、おまえのモーターはよくできたと、ものすごく褒めてくれた。褒めてくれたのは後にも先にも1度きりなんだ。それでぼくはモーターに興味を持つようになった。言い換えれば、その野郎のおかげでここまできたんですね」

 中学時代は学年で1番の成績だったが、2年の時に父を亡くした重信少年は、電気屋に就職することにしていた。その能力を惜しんだ担任が、母と長兄を説得してくれたおかげで、工業高校に進学することができた。

 高校ではモーターをせっせとつくり、研究した。この道にいけば自分は大成するという自信があった。永守さんの場合、予感ではなく、「情熱」が「自信」につながるのである。

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