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【談話室たけくま】
日本の著作権は「鹿鳴館」である

  • 竹熊 健太郎

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2006年9月7日(木)

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 「談話室たけくま」へようこそ。コミック、映画、アニメーションなどの分野でディープな活躍を続ける編集家、竹熊健太郎氏が、彼が注目しているクリエイター、識者と対談する不定期連載企画です。今回お迎えしたのは、『インターネットの法と慣習』(ソフトバンク新書)を上梓された法政大学社会学部助教授の白田秀彰氏。テーマは著作権。リアルな世界で作られた法律と、新たに現れたネットの世界との間で生じたずれについて、縦横に語り合います。

白田秀彰(しらた ひであき) 
1968年宮崎県生まれ。法政大学社会学部助教授。一橋大学法学部卒業。同大学大学院博士後期課程単位修得退学。専門は情報法、知的財産法。著書に『コピーライトの史的展開』(信山社出版)がある。雑誌や自身のサイトなどで、リアルとネットにおける方の位置づけについても積極的に発言している。(『インターネットの法と慣習』略歴より引用)


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竹熊 フランスの国立視聴覚研究所が、過去制作された10万本のテレビ・ラジオ番組を、ほとんど無料で公開しているんですね。8割ぐらいは無料で見られる。だけど、ネット界隈で今年5月ぐらいに話題になってたのに、ほとんどマスメディアで話題になっていない。日本だけではなく、米国やイギリスのマスコミでも同じで、無視に近いそうですよ。

白田 フランスは、国家戦略として「文化」を売っていこう、武器にしていこうというところが明確にありますからね。

フランスの「著作権」国家戦略

竹熊 画質がすごくいいんですよ。YouTubeぐらいの画面サイズなんだけど、全然いい。拡大して見たいというときは、1.5ユーロとか払うことになるわけ。10万本って本数も半端じゃないですし、コンテンツ自体も魅力的なのが多い。例えばセルジュ・ゲンズブールのビデオは超キラーコンテンツになっていて、世界中からアクセスされている。こうしたフランスの、著作権の考え方は独特で、面白いですよね。

白田秀彰氏
白田秀彰氏

白田 独自といいますか、フランスこそが人格権中心の著作権の考え方の主流という自負と、ビジネス中心主義といえるようなアメリカの著作権運用に抗して、世界の著作権状況さらには文化状況を主導していこう、という気迫があります。

竹熊 昔調べたんですが、フランスの著作権には「パロディ条項」というのがある。要するにパロディを創作物として認めるという内容なんですよ。

 フランスで70年代に作った「ジャングルの恥・タルゾン」という「ターザン」のパロディ映画があって、それをバローズ(エドガー・ライス・バローズ。SF作家。『ターザン』原作者)の遺族が訴えたんですよね。あと、フランスで出た『ピーナツ(日本ではスヌーピーが登場するコミックとして有名)』のパロディ本を作者のチャールズ・M・シュルツが訴えた。だけど、フランスの法廷では両方ともこれを退けたわけですね。要するにパロディも独立した創作物であるという判例を出した。

 1980年代の頭ぐらいに出た法学雑誌の小特集があって、それで読んだ記憶で話をしているんですが、フランスの考え方では、パロディが成立するには、元ネタが有名じゃないといけないらしい。マイナーな作品のパロディはパロディとして認められない可能性がある。

 けれども、相手が『スターウォーズ』クラスの有名なものであればパロディになると。あともう1つは、オリジナルと混同されないことという。明らかにパロディであることが明確な表現じゃないといけないということですね。

日本に「著作権」が生まれた頃

竹熊 フランスの著作権法は、考え方がはっきりしていて面白いなと思ったんですが、一方で日本の著作権法とその運用は、どうにも腰が定まらない印象があるんです。日本の著作権法は、もともとはどこの国の法律がベースになっているんでしたっけ。

白田 日本はドイツですね。

竹熊 ベルヌ条約(文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約)か。

白田 そうです。ベルヌ条約自体を主導したのはヴィクトル・ユーゴー(フランスの作家。国際文芸家協会を設立。代表作は『レ・ミゼラブル』『ノートルダム・ド・パリ』)などのフランス系ですけれど、ヨーロッパ各国の文芸作家たちが、スイス政府のバックアップで条約を作った。日本は、明治期に西洋法をヨーロッパから移植してきました。そののちドイツ法が日本において主流となりましたから、考え方としては日本はドイツの学説を継承しているんです。

竹熊 なるほど。で、当時の状況はどうだったんでしょう。日本にはもともと「著作権」という概念はなかったわけですよね。

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