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時代の“気分”を醸成するのは誰?

  • 遥 洋子

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2006年9月15日(金)

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 紀子さまご出産で大勢の市民が喜ぶ姿がテレビで映し出されていた。

 もちろん新しい生命の誕生は言うまでもなく喜ばしい。新宮の名前は“悠仁”さまだそうだ。長年男のお子様が誕生しなくて気を揉んでいた方々にとっては、こんなに嬉しいことはないだろう。私も心からお祝いを申し上げたい。

 ご誕生前からも、そして今後ご成長する姿も、メディアは市民のリアクションと共に微笑ましく報道し続けるのだろう。

 これら一連の報道を見ていて、私はあることを発見した。

 ご誕生のニュースを聞き、「ばんざい」と両手を挙げて喜びを体全体で表わしている市民たちの姿があった。街のインタビューでも大勢の人が「男のお子さんですか!? キャー」と歓声を上げていた。

 私の記憶では、過去、女のお子様のご誕生の時にはこれほどの“ばんざい”は耳にしなかったように思う。だから今回の“ばんざい”は、そのお子様があくまで男のお子様だったから、と、理解したほうがいいのだろう。

 「ふーん。実はみんな男の子のほうがいいって思ってたんだ」と、男系か女系かで議論が喧しかったこの1年を思い出しながら、私はスタジオのモニターでニュースを見ていた。すると私の横で、テレビ局の女性アナウンサーがボソリと言った。

「女の子だったらよかったのに・・・」。

 その時に私は気づいた。ニュースで拾う街の声とは、その多くが、主婦や、ご年配の方たち。そして、街で遊ぶ若者たちの反応だ。急きょ報道する市民の声には、企業でバリバリ働くOLたちの声は入っていない。そもそも働く女性たちは公園のベンチや繁華街にはいない。彼女たちはしかめっ面してデスクにいる。

 「なぜ女の子がいいの?」とその女性アナウンサーに聞いてみた。「だって、あんまり男の子、男の子って皆が浮かれると、女じゃ悪いの?って思うじゃないですか」と言った。

 どうやら男系男子の皇統に相対する確信的女帝論者というわけでもなさそうだ。そのボソッという言い方から察すると、あくまで市民の反応を見ていて「悪かったわね。女で」という気分が沸き起こったというところだろう。

 そしてこの“気分”こそが、時代を作ると私は考えている。

 報道を見る限り、ご高齢の方たちや、既に子供を産んだ女性、遠い将来産むであろう方たちに、どうやら“男の子ばんざい気分”がより濃い印象がある。

 だが、今まさしく出産年齢真っ最中の女性たちにはどう届くだろうか。今“出産”を生きていない人と、今“出産”を生きている女性とでは、その“気分”自体に温度差があるのではないだろうか。

「遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」」のバックナンバー

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