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【わかるかも中国人】(2)
文革知らずはファンタジーがお好き

  • 中村 正人

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2006年9月25日(月)

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 「戦争を知らない子どもたち」の中国版が「文革を知らない」1970年代以降に生まれた世代だとしたら、彼らはいまの中国社会に何を感じ、どんな異議申し立てをするのだろうか。それとも彼らが口ずさむのは現実逃避の「平和の歌」なのか。「上海ニューリッチ」青年たちの心のありかを探るには、たとえば楊福東のような映像作家の作品を見るといい。

彼らは何がそんなに心配なのか。『Don't worry,It will be better...』 (Photo,2000) (c)artist and ShangART Gallery,Shanghai

 ブランドもののスーツに身を固めた若い男女がシティホテルとおぼしき一室でダンスに興じている。その脇でベッドに寝転んで、ふたりを見つめる青年のまなざしは無関心そのものだ。プライドが高く繊細な神経の持ち主には違いないのだろうけれど、ドラマの続きを期待させるほどの意思は感じられない、けだるく醒めた青年群像。そして、「Don’t worry, It will be better‥」という、これまた気の抜けたメッセージ。

 これがもし、いまの40代くらいの「改革開放」世代の青春物語だったら、もっと無骨でアグレッシブで汗まみれであったろう。もっとも、彼らはこんな優雅な午後のホテルの過ごし方など、知るよしもなかったろうが。

日本の80年代とよく似た世代が

 いま上海にはこうしたお坊ちゃん連中が実在する。都市のプチブルである彼らが青年期を迎える頃、社会はすでに高度経済成長下にあった。大人になると、さすがに社会のひずみや矛盾に気づくのだろうが、自分ではどうすることもできないし、都市に暮らしている限りとりたてて困ることはない。あり余る若さゆえに反社会的な行為に走るわけでもないし、性におぼれて苦悩することもない。

 どこか微温的な世代の登場について、日本の80年代を知る者には既視感があるかもしれない。

 楊福東(Yang Fudong)。この1971年北京生まれの映像作家は、上海を拠点に活動する中国人アーチストとして、おそらく海外での知名度が最も高い。

 彼の作品に頻繁に登場する、彼とほぼ同世代の20代後半から30代前半の、都会的な洗練を身につけながらも意志薄弱そうな青年像は、上海のニューリッチを風刺したものだともいわれる。ダイナミックに変化する中国社会の上澄みで現代的なライフスタイルを満喫しながら、未来への期待と不安、虚無感に揺れる心情を抱えている。

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