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【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 I

角川書店スニーカー文庫編集部インタビュー その1

2006年10月6日(金)

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 「涼宮ハルヒ」という名前に心当たりはあるでしょうか?

「涼宮ハルヒの憂鬱」原作

 彼女は、今年のアニメーションの話題をかっさらっていった「涼宮ハルヒの憂鬱」のヒロイン。4月のアニメ放映開始後、原作は150万部を売り、主題歌や挿入歌集はチャート上位に続々進出、DVDもアニメでは久しくなかった売れ行きなのです。

 この「ハルヒ」、懐かしの「ヤマト」「ガンダム」「エヴァンゲリオン」とちょっと違うのは、「深夜枠」で「UHFローカル中心でわずか11局での放映」で、14話という「短期間」なこと。

 広告宣伝が大量投入されたわけでもないし、同じジャンルでもっと原作が売れていたアニメは沢山ある。

 売れる要素、売るための仕掛けはそれほどないように見えるのに、数字はみるみるメジャー級に上がっていった。話題が大きくなった理由はウェブ上で熱烈に支持したファンの行動にあり、それゆえ「ハルヒこそ、ユーザー参加型Web2.0的コンテンツ」と、主張する方も多い。

 しかし、それはちょっと違うだろうとも思うんですな。「ハルヒ」は所謂Web2.0的な作り方や仕掛けを施してはいない。ファンを集わせるための公式ブログやSNSがあるわけでもなく、オフィシャルサイトは恐ろしいほど不親切。

 では、なぜ「ハルヒ」に限って人々は、勝手に話題を盛り上げる気になったのでしょうか。「作品が面白かったから」で終了するのではなく、その作品を生み出した組織や人が、そして作品のファンの方々が、何を考え、どう動いた結果、この希有な状況が現れたのかを知りたいと思いました。

 そんなことを考えたいと持ちかけ、快諾頂いたのがブログ「[mi]みたいもん!」の筆者、いしたにまさきさん。話し合っている間に、彼から出てきた言葉が「共犯関係」。言われて自分のインタビューのログを洗い直してみると、どの語り手からも、その言葉が形を変えつつ出てきます。

 従来にない形でのヒットの陰には「共犯者」あり、ではないか。とはいえ、今つかんだのは言葉だけです。その言葉の意味するところを探るべく、共犯者たちを訪ね歩く不定期・長期の連載企画を始めます。モットーは過度な加工をしないで、皆さんにお考え頂くヒントをできる限り多く提供すること。どうぞ気長に、ディープに、お付き合いください。

 最初の5回は「ハルヒ」の原作を生み出した編集者と編集長。個人的に、あのアニメの第1回を見て、原作側の担当者や編集長は何と言ったのか、ぜひ聞いてみたいと思っていました。

 この企画は、本日から以下の構成でお届けします。

その1 「ハルヒの原作の異常な売れ方」
その2 「ハルヒのアニメ化はどう始まったのか」
その3 「原作本はなぜバカ売れしたのだろう」
その4 「あの第1話を見て、正直、どう思ったのか」
その5 「ビジネスとしてのライトノベル」

 長々お待たせしました。それではどうぞ。

(聞き手:日経ビジネスオンライン 山中 浩之)


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スニーカー文庫編集長、野崎岳彦氏

スニーカー文庫編集長
野崎岳彦氏

同編集部「涼宮ハルヒ」シリーズ担当、坂本浩一氏

同編集部「涼宮ハルヒ」シリーズ担当
坂本浩一氏


「ハルヒの原作の異常な売れ方」

-- まず、「涼宮ハルヒ」シリーズの累計部数から教えて頂けますか。

坂本 アニメの放映前が130万部だったのですが、連休明けで180万部、9月現在では280万部になっています。

-- アニメの放送中に、どんどん重版がかかったわけですね。4月放映開始ですから、2カ月たらずで120万部が売れた。

坂本 アニメ放送開始までは累計で130万部でしたが、放映開始後に8巻が出て、1~7巻に重版がかかり、合計でこの部数に。

放映後に1カ月で70万部強売れた

-- 角川スニーカー文庫や他のライトノベルで、アニメ化された作品は、それこそ山ほどあるわけですよね。比較して、この数字は突出したものなんですか。これぐらいはままある、そんな感じですか。

坂本 他社の例とかは詳しいところは分かりませんけど、今回のはもちろん、突出した例です。放映後に本の売れ行きが200%以上というのは、記憶にないですから。

-- 「Amazon」で一時すごいことになっていましたよね。

坂本 ええ。一時期『ダ・ヴィンチ・コード』の次は全部『ハルヒ』だったという。

-- 全部角川だ(笑)。チャンネルとしてのネット通販の比率ってどんな感じですか。

坂本 細かいところまでは分かりませんが、非常にネット通販で支持を受けたのが、今回の特徴だったと思います。

-- 売り上げの3割がネットとか、そういうことは。

坂本 いや、やっぱり書店さんが一番多いのですが、今回はアニメの放送中に、結構、店頭で品切れになっちゃったりしたので、ネット書店さんの方に流れた経緯もあったかと。

-- なるほど。坂本さんが今回のブレイクの「初動が出た」と思ったのはいつぐらいですか。もう、放映してすぐですか。

坂本 そうですね。放映してから、1週間後ぐらいですかね。

-- 「品切れなんだけど」みたいな話が販売の方から来るわけですか。

坂本 書店に行った編集部の人間から「『ハルヒ』がなくなっているよ」と言われたのがその頃ですね。2週間後ぐらいには、もう「これは売れているぞ」と顕著に。

野崎 失礼します。ちょっと遅れまして。

-- お忙しい中、編集長にまでおいで頂いてすみません。いま、『ハルヒ』の売れ行きをお聞きしていたんですが。

野崎 『ハルヒ』は、映像化されたライトノベル作品としては、出版点数(巻数)は決して多い方じゃないですね。なのに、この部数の積み方は、長くこの仕事をやっている立場としても相当すごいなと思いますよ。

坂本 かなりの特例であると思います。

野崎 1カ月で、約70~80万部が売れたわけですから。これは「スニーカー文庫」の棚に足を運んで頂く方が増えたわけで、スニーカー文庫全体でも伸びています。

シリーズものの通例では1巻が売れるが

-- ところで、ちょっと気になることがあるんです。放映後に積み増した分を、1巻から8巻まで巻数別に見ると、どうなっていますか。

 なぜこんなことをお聞きするかというと、私はアニメを見始めたのがきっかけで、原作を8巻まとめ買いしてしまったんです。こういう人、もしかして多いんじゃないですか。通常のシリーズものは通例、売れ行きは1巻が圧倒的であとはどんどん落ちていくと聞くんですが、『ハルヒ』の場合は。

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「【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 I」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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