「EXPRESS X」

【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 II

角川書店スニーカー文庫編集部インタビュー その2

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2006年10月10日(火)

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涼宮ハルヒの場合・2

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※本企画の趣旨などにつきましては(その1)をご覧下さい


スニーカー文庫編集長、野崎岳彦氏
同編集部「涼宮ハルヒ」シリーズ担当、坂本浩一氏
聞き手:日経ビジネスオンライン 山中 浩之

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「ハルヒのアニメ化はどう始まったのか」

−− まず、小説のアニメ化っていつ頃からお話が動くんでしょうか。

坂本 実際は放送の1年半ぐらい前から話自体はあったと思います。制作が始まってから、原作サイドとしての関わりとしては1年ぐらいですね。

野崎 ちょっと補足すると、大手の集英社さん、講談社さんを筆頭に、出版社が自社の原作の映像化、アニメ化をする例は数多いですが、同じ部署というか、同じ事業部内で映像の制作部門、「衣」が付かない方(※業界の慣例で、コンテンツを作ることを「制作」、その資金を出すことを「製作」と表記する)を持っている例はかなり少ない。

 なので、その意味では『ハルヒ』に限らず、角川では許諾案件じゃないもの、すなわち角川が制作元になって、製作委員会としての幹事をやっている作品(原作を角川書店が持ち、自社で投資を行う)については、綿密に原作サイドの編集部と、映像制作サイドのスタッフが話し込みができるというのが、ほかとは違う特徴です。

原作側が「製作」に深くコミットする

−− 普通は制作会社さんに許諾するか、許諾と波代(電波料)を出して、あとはお任せというスタイルが多いそうですね。

野崎 そうですね。我々の場合は、ほとんど会社の隣のセクションで原作と映像制作が仕事をしている。さらに、お金の投資、つまり「製作」部分も社内にある。これは出版社としては珍しいと思うんですね。

 我々も同じ会社のメンバーなので、制作会社さんを選ぶにしても、信用できますよね。どういう手順で選んでいるかが分かるし。

−− なるほど。今回アニメの「ハルヒ」を制作した「京都アニメーション」さんの名前とかイメージは、話が出たときには坂本さん、野崎さんは何かしらお持ちだったんでしょうか。

坂本 同じ角川グループの中の富士見書房が出している『フルメタル・パニック!』も京都アニメーションさんがやっていましたからね。非常に丁寧な、いい作品を作られる制作スタジオだというのは知っていました。

−− 話が前後しますが、角川さんの本体の映像部門の方から「『ハルヒ』をやりたいんだけど」、という形で打診が来るわけですか。

坂本 映像部門さんとスニーカー文庫との間で、映像化候補作の打ち合わせを定期的にやっていますので、その中で当然『ハルヒ』は注目されていました。

最初はやっぱりワン・オブ・ゼム

アニメの公式ムック『涼宮ハルヒの公式』も「シャレにならないくらい売れている」(角川書店広報)。通常のムック本の初版分の部数を、増刷分で売り切ったという噂も
アニメの公式ムック『涼宮ハルヒの公式』も「シャレにならないくらい売れている」(角川書店広報)。通常のムック本の初版分の部数を、増刷分で売り切ったという噂も

−− リストの中に入っていて。

野崎 そうですね、定期的にそういう原作のどれをいつの時期に、どの規模でやるかというような企画会議をやっているので。ただ当初から「ハルヒ」はこの時期に、必ずやるよというふうにお互いに決めているわけじゃなくて、最初の段階ではあくまでもワン・オブ・ゼムの中ですね。部数が非常に良くても映像化しづらいものも当然あるわけですし、作家さんやイラストレーターさんの状況もスケジュールが合わないという例もあるので。

−− どうですか、今回の手応えって、わあ、当たっちゃったなという感じですか、それとも、まあ、思った通りだったね、みたいな印象でしょうか。

坂本 正直、びっくりしました。

−− 素直なコメント、ありがとうございます。

野崎 先ほどおっしゃったように、今メディアミックスの力が、どこまで本の部数に帰ってくるかというのは、かなり微妙ではあります。

−− 今、ゴールデンタイムのものは別として、アニメ自体の投資の回収は、ほぼDVDの販売収益頼みで、本ではないですよね。

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 「ユーザーの顔が見えない」と言われる中で、自分自身の思い入れを武器に成果を上げている人々がいる。いわく言い難い個人の熱意(X)を、ビジネスとして組み立て、市場にいる買い手に思いの丈を伝える(EXPRESS)工夫を、本人へのインタビューを中心に、所属する組織や、市場規模の大小に関わらず紹介する。

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