「EXPRESS X」

【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 III

角川書店スニーカー文庫編集部インタビュー その3

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2006年10月11日(水)

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涼宮ハルヒの場合・3

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※本企画の趣旨などにつきましては(その1)をご覧下さい


スニーカー文庫編集長、野崎岳彦氏
同編集部「涼宮ハルヒ」シリーズ担当、坂本浩一氏
聞き手:日経ビジネスオンライン 山中 浩之

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「原作本はなぜバカ売れしたのだろう」

−− 深夜枠・放映局の少なさ・放映期間の短さと、原作の小説が売れるためには悪条件が揃っていたアニメの『ハルヒ』。なのに、放映が始まるやいなや、全巻まとめ買いが続出して、1カ月で70万部強が売れるヒットになった。もちろんアニメはすごく高品質にできていますが、今、ライトノベル原作のアニメは山ほどあるし、その中には『ハルヒ』より元々売れていた原作もありますね。

 中にはひどいアニメ化もあるでしょうが、おそらく原作を読んだ方が、失望しないぐらいのものにはなっているんだろうなと思うんですよ。いくつか見ている者の実感として。

 だけどそれで、原作の本が「Amazon」や書店でがーっと売れたという話は、他では聞かないんですよね。その理由を、本を作り、売るお立場の坂本さん、野崎さんから、ぜひ手がかりをいただきたいんですけど。

アニメ放映後150万部を積み増した『涼宮ハルヒ』シリーズ(角川書店 スニーカー文庫)。
アニメ放映後150万部を積み増した『涼宮ハルヒ』シリーズ(角川書店 スニーカー文庫)。

坂本 まず第一に、「アニメが面白かった」ということが大前提の上で、構成順がかなりとびとびであるということで(※)、先を知りたいという欲求が高かったんだと思います。そのときに「原作に先が載っているようなので、見る前に予習をしておこうか」という気持ちがあったんだと思うんですね。

(※「ハルヒ」の放映順は作品の中の時系列に沿っていないため、先に知人として出てきた登場人物が後の回で初対面だったり、前後編が分かれて放映されたりもした)

 しかし、予習をした上でアニメーションを見て、予習をしたからもう分かりきっていて、アニメが面白くないとなったら何にもならないのですが、そんな状況が全然なくて、「原作を知った上で、アニメを見るともっと面白い」という相乗効果が生まれたんだと思うんですね。付け足せば、もともと小説の方も、決して時系列順に並んでいるわけではないので。

−− そうでしたね。私もびっくりしました、読み直して。

坂本 なので、1冊だけ読めば、もう原作を読まなくてもいいやということでもない。

−− そうか、アニメは基本的には1巻と2巻の話が中心ですが、2巻まで買えば全部分かる話じゃないですね。原作ではずっと先の巻に載る話が、時系列で行くと2巻までの話に割り込んだりしている。

坂本 やっぱりその辺で、まとめ買いが多くなったのではと思っています。

面白さの底に、飢餓感がある

−− 野崎編集長、いかがでしょう。

野崎 アニメ化の逆といいますか、映像のノベライズをいくつか我々もやっていますけど、映像自体の完成度があって、かつヒットした作品の場合、ノベライズの役割は、ある意味、「追体験」の場だと思うんです。なぜ追体験したいかといえば、その面白さをもっともっと味わいたいという、飢餓感があるからです。

 「ハルヒ」の場合はノベライズじゃないですけど、この映像作品にも、見て面白い上に、飢餓感があるんだと思うんですね。なんだかもっともっと、この面白さは深さがあるんじゃないか、謎がいくつも残っているぞと、というような。そこに、「ハルヒ」の場合は原作があるわけです。

 昔『ツイン・ピークス』ってテレビシリーズがありましたよね。

−− ありましたね。

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 「ユーザーの顔が見えない」と言われる中で、自分自身の思い入れを武器に成果を上げている人々がいる。いわく言い難い個人の熱意(X)を、ビジネスとして組み立て、市場にいる買い手に思いの丈を伝える(EXPRESS)工夫を、本人へのインタビューを中心に、所属する組織や、市場規模の大小に関わらず紹介する。

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