「EXPRESS X」

【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 V

角川書店スニーカー文庫編集部インタビュー その5

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2006年10月13日(金)

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涼宮ハルヒの場合・5

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※本企画の趣旨などにつきましては(その1)をご覧下さい


スニーカー文庫編集長、野崎岳彦氏
同編集部「涼宮ハルヒ」シリーズ担当、坂本浩一氏
聞き手:日経ビジネスオンライン 山中 浩之

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「ビジネスとしてのライトノベル」

−− 背景情報としてちょっとお聞きしたいのですが、まず、月の刊行点数って角川スニーカーさんはどれぐらいでしょうか。

野崎 平均で約7点。

−− ということは年間で7×12で。

野崎 84点ですね。でこぼこはどうしてもあるんですけどね。

−− 年間での総部数は?

野崎 難しい質問ですね。新刊の方ですか?

−− そうか、どちらもあるわけですね。ライトノベルは実売率が高い=返本率がかなり低いと言われていますが。

ライトノベルは最盛期を過ぎている

ハルヒの特集を組んだ「ザ・スニーカー」。編集長はスニーカー文庫と同じく野崎氏。あっという間に売り切れたため筆者は書店で買い損ね、オークションで定価のン倍払って手に入れた。「すみません。でも編集部にも在庫はないんです」(野崎氏)
ハルヒの特集を組んだ「ザ・スニーカー」。編集長はスニーカー文庫と同じく野崎氏。あっという間に売り切れたため筆者は書店で買い損ね、オークションで定価のン倍払って手に入れた。「すみません。でも編集部にも在庫はないんです」(野崎氏)

野崎 例えば、現状の文庫のビジネスのだいたいの数字ってお分かりになります?

−− 返本率は30%台後半と聞きます。多いところで4割近いとか。

野崎 そうですね、その一般的な数字よりは低いです、ライトノベルは。

−− じゃあ、3割いったら「これはダメだよ」と言われちゃうとか。

野崎 そこまでは厳しく言っていないし、言われていない…と思います(笑)。

−− だいたい平均で、どれぐらいが初版の部数なんでしょう。各社さんでもちろん違うのでしょうけれど、例えば新人作家の方が、特に話題性があるとか、受賞作ではなかったときはどうですか。2万部、では多すぎますか?

野崎 本当にいろいろあると思いますが、大手ならだいたいそのくらいでしょうか。

−− アニメ効果を見込んだら、今『ハルヒ』の新刊が出たらどれぐらいですか。『キノの旅』(電撃文庫・メディアワークス)が30万部弱とか言いますよね。25万部、30万部とか。

坂本 数字は営業施策と密接に絡むので、今は何とも言えないです。

−− 文庫本全体としてみたら、ライトノベルはやっぱり元気のある分野ということは言えるのではないですか。

野崎 「ライトノベル」ってその言い方がいいかどうかは別としまして、そういう出版メディアが本当に売れていた時期は、10年前ですよ。

−− スニーカーさんが猛威を振るっていた時期がありましたよね。

野崎 『ロードス島戦記』(水野良)であり、あかほりさとるさんであり、中村うさぎさんの作品であり、ですね。その頃は一般には話題になってないですから、皆さんも部数に関心などなかったでしょう。初版24万部、28万部という作品がごろごろしていましたよ。でも今はそういう作品はほとんどないですよね。各レーベル1つ、2つあればいい方で。

−− 一方で点数は増えていますよね。巨峰がそびえ立つ世界から、小さな山がたくさんあるような状態になってきた?

参入が相次ぎ、初版部数が低下

野崎 文庫の返品率が非常に上がっている現状では、ライトノベル系の返品率はおしなべて低いんですね。だから、外からはやっぱり(市場環境が)よく見える。参入するレーベルの数が昨年から非常に増えました。だけど増えた分だけ読者層が広がってパイが増えているのであれば、何の問題もないですけれども、割り算をすれば初版部数の低下という問題にぶち当たるわけですよ。

−− 市場規模÷(レーベル増加×点数増加)=初版部数の減少、という関係がきれいに出ちゃっているんですか。

野崎 全体では出ていますね。それを防ぐために我々を含めた各レーベルがいろいろ対策を打って、効果のあるレーベルもあれば、苦戦しているところもある。まあ、あまり景気が悪い話をするのは嫌なので、いい方を言えば認知度は上がりましたよね。昔はあんなに売れていても、数字に関心を持って貰えなかった。例えば日経BPさんが取材に来ることはあり得なかったですからね。

−− 今や、うちはライトノベルのガイド本を出していますから。

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 「ユーザーの顔が見えない」と言われる中で、自分自身の思い入れを武器に成果を上げている人々がいる。いわく言い難い個人の熱意(X)を、ビジネスとして組み立て、市場にいる買い手に思いの丈を伝える(EXPRESS)工夫を、本人へのインタビューを中心に、所属する組織や、市場規模の大小に関わらず紹介する。

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