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【わかるかも中国人】(5)
新しい摩天楼のリアルとは何か?

  • 中村 正人

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2006年10月16日(月)

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 敗戦の焼け野原から約40年かけて経済発展した日本に対して、それをさらに圧縮した猛スピードで世界の同時代に追いつくまでの発展を遂げた上海。これまで主に改革開放とともに成長した「新人類」を見てきたが、いまの上海の活力を支えているのは彼らだけではない。忘れてはならないのが、その年長世代だ。

 改革開放後、上海はすぐにいまの繁栄を迎えたわけではない。1980年代後半まで続く長い停滞の時代があった。90年代に入ってようやく、広東省を中心とした華南地方からの遅れを取り戻せと、一気に街を掘り返し、摩天楼を建て並べていったのだ。その激動のプロセスをずっと見届けてきたのが彼らである。

 いまの上海、年長世代にはどう映っているのか。1990年代以来、上海をテーマにした多くの作品を発表してきた60年代生まれのふたりのアーチスト、楊振忠と施勇を見る限り、一筋縄ではいかない複雑な心境がうかがえて面白い。

浦東の風景を転倒させた『かるがる簡単2(Light and Easy 2)』(Photo,2002) (c)artist and ShangART Gallery ,Shanghai

 ハイテックな摩天楼と巨大な球体がやたらと目につく「レトロモダン」な風景。アトムの世界を知る日本人には懐かしくもある近未来の風景を、21世紀を迎えるまでのわずかな期間に現出させた上海浦東地区のウォーターフロント。その高層ビル群の映像を転倒させ、ひとりの男が東方明珠電子塔のてっぺんを指の先で支えながらバランスを取っている。

 ビデオバージョンでは、前後左右に揺れるビル群のバランスを取るのに男が懸命だ。なんとも子どもじみた着想だが、この『かるがる簡単(Light and Easy)』と名付けられた一連の作品群の持つ、妙に明るいとぼけっぷりは観る者の笑いを誘う。

 1968年杭州生まれの楊振忠(Yang Znenzhong)は、稚気あふれるユーモラスな手法で、いまそこにある都市の現実を異化してみせる。

動かせそうにないことでも、いとも簡単に…

こんなものだって軽い軽い。『かるがる簡単21(Light and Easy 21)』(Photo,2002) (c)artist and ShangART Gallery ,Shanghai

 『かるがる簡単』シリーズでは、ほかにもいろんなものを持ち上げている。それはマクドナルドの巨大な人形だったり、戦車だったり。まるでアメリカ資本主義だろうが軍隊(アメリカ太平洋艦隊のこと、まさか人民解放軍?)だろうが、いまのぼくらにはへっちゃらさ、といわんばかり。(重力を失わせるような決定的な)価値の転換さえ起きてしまえば、どんなに敵わないと思っていた相手でも、動かしがたい状況でも、いとも簡単に変わってしまう。それはいまの上海を見ていればわかるだろう、と。

 もっとも、そんな物わかりのよい了解ぶりが、かえって今日の繁栄もいかにあやういものであるかを暗示しているようにも見える。

 わずか10数年のうちに、あれよあれよと高層ビルが何千何百棟もの単位で建てられ、街の風景を一変させた上海だが、そこで暮らす当事者たちは、実際のところ、どんな思いでいるのだろう。


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