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【わかるかも中国人】(7)
アングラ展での駆け引きが活力に

めげない上海人の「パーティーやろうぜ」感覚

  • 中村 正人

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2006年10月30日(月)

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 上海アートの躍進を支えているのは、なにも外国人ばかりではない。「中国アートは中国人の手で育てたい」。その想いがひと一倍強いのも彼らである。しかし、ここは共産党の国。いつ何時、いかなる言いがかりをつけられるか分からない。当局の監視や圧力をくぐり抜ける機転や、時代の風向きの変化を読む勘所は不可欠だ。

2000年の「非公式」展覧会がきっかけに

 前回はアートスポット「莫干山路50号」について概説した。それに引き続き今回は、同じスポット内に画廊を構える、ある上海人オーナーを紹介したい。ここ数年の彼の仕事から見えてくる、当局との駆け引きや時代の変化に伴う心の動きが興味深いのである。

 彼の名は李梁(Li Liang)。「莫干山路50号」の草創時(2002年)に画廊「Eastlink」を開いたオーナーであり、上海アート界における野心的なオーガナイザーとして知られる人物のひとりだ。

Eastlinkのオーナー、1960年上海生まれの李梁氏

 「Eastlink」は、前回登場したローレンツ・ヘルブリング氏の「ShangART」とは別棟の、見るからに殺伐とした雑居ビルの5階にある。入口は小型パワーリフトでも入りそうなエレベーター。扉が開くと、中にエレベーターガールならぬ作業着姿のおばさんがいて、5階まで運んでくれる。それだけのために彼女を雇っておく理由は不明だが、改革開放前の中国人のように無愛想な仕事ぶりが、かつてここが国営工場だったことを思い起こさせてくれる。

 奥行きの広い、採光の行き届いたロフトギャラリーだ。窓からは蘇州河と周辺のマンション群が見える。入口の左手にオフィスがあり、そこが李の仕事場だ。なぜこうした場所に画廊をつくったのか。ぶしつけな問いに彼は屈託なく答えてくれた。

 「ぼくがここに来た頃、ギャラリーなんて全くなかった。いま中国では、アーティストが集まるオルタナティブ・スペースとしては北京の798藝術工廠の方が有名だし規模も大きいけれど、もともと都市の工場跡や倉庫にアーティストが集まり始めたのは上海の方が先。きっかけは、2000年の上海ビエンナーレだったと思う。それまで、上海の美術界は保守的で、現代美術展をやるような雰囲気はなかったから、ぼくら上海在住のアーティストは世間を驚かせてやろうと思ったんだ」

ギャラリーがある蘇州河沿岸。高層マンションの狭間に古工場や倉庫跡が

 2000年秋、李がオーガナイズした展覧会『FUCK OFF(不合作方式)』の内容は極めて過激なものだった。ネット上の百科事典ウィキペディアの英語版にこうある。「Fuck Offは2000年の上海ビエンナーレの外郭展として行われた悪名高い展覧会。中国語のタイトルこそ『非協力的な態度』とおとなしいが、この展覧会に参加したのは政治権力に対して自由と理想を表明するアーティストのグループだった」。

 それは中国で初めて外国人アーティストを多数招聘して開かれた、市政府肝いりの国際現代美術展、第3回上海ビエンナーレ開催中の出来事だった。出展者には、建築家・安藤忠雄などの日本人の名も見える。そんな晴れがましいイベントの真っ最中に、主催者側に対抗し、その意向をあからさまに裏切る自主イベントを開いたのが『FUCK OFF』だったわけである。

猟奇的な作品がギャラリーを埋め尽くした

 当時の状況については、欧米の美術ジャーナリストによるいくつかの記事が残されている。「この展覧会はビエンナーレのメイン会場から離れた蘇州河沿いの倉庫の中で行われた。参加したのは、北京からやって来た若いアーティストたちだった。彼らは虚無的な作品を多く並べ、明らかにビエンナーレに対して攻撃的な姿勢を取っていた」(例えば、イギリスのオンライン画廊「eyestorm」)。

 そこでジャーナリストが見たのは、異様な光景だった。作品と称されるものの多くが、ザリガニやカブトガニ、丸焼けの犬、異臭を放つ豚の肉片など、生物の死骸をオブジェまたはキャンバスとして扱う作品や、疱瘡だらけの人体の蝋人形、幼児の人体から油を搾り取るインスタレーション…。要するに、猟奇的かつ悪趣味の極みのような作品であふれかえっていたのである。

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大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長