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【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 VII

ランティスのプロデューサーにインタビュー その2

2006年11月2日(木)

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涼宮ハルヒの場合 VII

“土作り”から始めるとやっぱり当たる

-- ちょっと余談ですが、パソコンゲームが原作になっている場合は、ランティスとしてはどう絡むのですか。

井上 アニメ化の話のずっと前から関わることが多いですよ。「D.C.~ダ・カーポ~」とか、「君が望む永遠」とか、「マブラヴ」とか、18禁のPCゲームが元になっている場合ですね。

 アニメになるのは遠い先だとしても、ゲームのときの音楽から一緒に作っているんですよ。まずPCゲームをやって、プレイステーションなどのゲーム機に移植されて、声優さんのラジオがスタートしたり、ノベライズが出たりとかいろいろやって、最後はテレビアニメに。そうなるようにコーディネーションしたりしているんです。

-- オファーを待っているだけじゃなくて、アニメになるかなり前の段階から加わるんですか。

井上 オファーを頂くのが3分の2で、あとはまだ原石のときや、もしくは企画を立てるころからやっている感じですね。「こういうのをやりたいね」と、アニメのプロデューサーと話していて、「じゃあ、スタッフを選んで」「ああ、いいよ」ということもあったりしますし。

-- それは、しかし、アニメーションの制作会社ならそうだろうなと思いますが。ランティスは音楽制作の会社ですよね。

井上 アニメの制作委員会に出資をして、「音楽的なものはこういうふうにしましょうよ」という役回りの方がもちろん多いですよ。3分の1は企画からと言いましたが、原石から、もうとことん関わるのは5分の1ぐらいの感じです。でも、そういうのに限ってやっぱり当たりますね。

 まだ会社は7年目(1999年末設立)なんですけど、5年ぐらい前とかに手がけて、3年前ぐらいにアニメになったというような。そういうやり方はうちの特徴かもしれないですね。

いしたに 最初は土から始める、米作りみたいですよね。

井上 そうですね。

-- それって、端的にいうと「音楽だけで収益を」、というのではなくて、アニメになるところまで考えて回収を見込んで動くということですか?

左:ランティス 松村起代子取締役、中央:ランティス 井上俊次社長、右:「ハルヒ」の音楽担当 斎藤滋プロデューサー
左:ランティス 松村起代子取締役、中央:ランティス 井上俊次社長、右:「ハルヒ」の音楽担当 斎藤滋プロデューサー

井上 こんなことを言うと笑われるんですけれども、あんまり考えてなかったです(笑)。

いしたに 面白そうだから、一枚かませろと。

井上 そういうことですね。

コアから外に広がることができたのは?

-- 「ハルヒ」の話に戻しますと、いしたにさんと話していて、ものすごく同感だったことがあるんです。何かというと、「つまらないものを売るのがマーケティングの役目」ではないだろうということで。モノなり作品の良さを届ける手法として、初めて「マーケティング」が出てくるんだろう、みたいな話をしていまして。

いしたに その「良さ」とか「面白さ」が伝わる速度が、ネットに関してだけの話ではありますが、去年以降すっかり変わってしまったと思うんです。みんなが引っ掛かるポイントがあれば、それが一気にだーっと伝搬していく。

 もちろん、それはネットの元々の特徴なんですが、そのスピードが、感覚としてですが以前の10倍とか100倍ぐらいになっちゃった。その代表的な例が「ハルヒ」かなと。

 井上さんが仰るように、「ハルヒ」に最初に食い付いた人たちというのは、「ちょっと濃い」、深夜アニメを見慣れた方々だったんだけれど、そこからもっと薄いというか「普通の」人に、ぱんぱんと伝染していくという状況が生まれているように思えます。

-- 私自身が「ハルヒ」に反応するのは、自分でも全然驚かないんですよ、ですけど、同年代の編集者で、アニメはもちろん見ないし、マンガもろくに読まないし、お付き合いする相手は赤瀬川原平さんや養老孟司さん、ってなヤツがいて、それが「山中さん、『ハルヒ』って知ってますか」って言ってきた。これは驚いた。決して敷居が低い作品でもないし、いわゆる「萌え要素」も、ずいぶんひねくれた形で入っている。

井上 そうですね。

-- つまり、彼は誰かコアなファンからその話を聞きつけたんでしょうけれど、アニメの話題に食いつくこと自体が驚きなんです。例としては非常に個人的ですが、この作品は何らかの理由で、コアに深く食い込み、さらにある程度は、その外へ広がることができたんだろうと。

 だからこそCDもこれだけ売れて話題になったんだと思うのですが、どこにその要因があったのでしょうか。成功しちゃえば何とでも言えるというのは承知の上でお聞きしますが、最初から「これは相当売れる作品だ」と見ていらっしゃったか、もしそうだとしたら、どこにその理由があったのかをお聞きしたい。

井上 う~ん、数字がどう、という見込みで言えば、ここまでのヒットはもちろん予想外です。でも、予感がなかったわけじゃありません。あのですね、アニメを作る京都アニメーションのスタッフの方々が、我々の所にレコーディング風景を撮りにいらっしゃったんですよ、

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「【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 VII」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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