「EXPRESS X」

【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 VIII

ランティスのプロデューサーにインタビュー その3

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2006年11月6日(月)

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涼宮ハルヒの場合 VIII

12話と『詰合』ができるまで

−− 放送第12話で、主人公のハルヒが劇中のライブで熱唱し、話が終わったところでその曲を収録した「涼宮ハルヒの詰合」のCMが入る。で、このCDは大ヒット。今回はこのお話を聞かせて下さい。

斎藤 あの12話のエピソードの後に、収録曲の広告をぶつけようと考えたのは放送される3カ月前ぐらいからですね。

 (12話の)シナリオのクオリティや、スタッフの皆さんの熱意から、「これはもの凄いことになる」と感じまして、であれば放送される直後にCDが出るようなタイミングにしようと。放映3日後に発売といういいタイミングがつくれたのは、角川書店のスタッフの方に理解をいただいて、厳密にスケジュールを固めることができたおかげです。

−− 放映タイミングに合わせて音楽CDを作り込んでいったわけですね。

斎藤 そうですね。

−− やられたと思ったのは、「詰合」そのものは、この回の放映前からずっと番組中で宣伝されていましたよね。

斎藤 劇中歌3曲入りで、うち1曲はハルヒの放送第1話で流れたアレ(「恋のミクル伝説」)です。

−− サブヒロインが歌う、わざとらしいまでにドヘタなアイドル歌謡風の曲。

涼宮ハルヒの詰合(朝比奈みくるの「恋のミクル伝説」面)

斎藤 あの曲が入ったCDですよ、という宣伝をずっと流していて。

−− おかげで完全におちゃらけCDかと思っていました。

いしたに CMでも、ずっとこちらの面ばかり見せられていた。

斎藤 放送第12話で使われる曲は、12話が放送されるまでは一切情報を外に出さないという方針がありました。そのため、発売までは3曲目のとんでもソングばっかり宣伝をしていたんですね。本当は1曲目、2曲目がメインですよというのが12話の放送で初めて分かるという、どんでん返しがあって。

松村 ジャケットもハルヒの側は出しちゃいけないという話で。

涼宮ハルヒの詰合(涼宮ハルヒ面)

−− こっちですね。これを見れば、原作を読んでいるファンは「ああ、ライブの話が放映されるのか」と見抜いちゃいますからね。で、斎藤さんたちはにやにやしながら仕込んでいたわけですね。「これ、12話が流れた後でハルヒのジャケット面を見たらみんな驚くよね」とか言って。

斎藤 “ちゃんと”朝比奈みくるの面だけを見せていこうと。「ハルヒの面を見せてしまったらスタッフの皆さんの想いが全て台無しになる」と思っていました。

−− そうはいっても、発売前には商品見本だって出ますよね。

井上 そうなんですよね。

「うわーっ」と驚いて買ってしまう

斎藤 なのでこちらは絶対見せないでね、って、宣伝にお願いして。曲名は出してもいいんだけど、それが何話のどういうシチュエーションで使われるかはシークレットでした。というわけで、「涼宮ハルヒの詰合」は、ユーザーの皆さんは3曲目がメインの、おちゃらけの曲ばかりだと思っていただいてたんですけど、実はまじめなCDだった。

いしたに しょうもない話ですみませんけど、僕、ずっと仲間と、ネットでチャットしながら見ていたんですよね、アニメと同時に。「12話、とんでもないクオリティの作画と音楽だね」「平野綾さんって歌うまかったんだね」とか書き込みながら見ていて、放送が終わった瞬間に「詰合」のCMが流れて、みんなでうわーっ、電波ソングのCDだと思っていたら、実はこの曲が入るのか。やられた、って。

井上 ちょうど劇中でライブが終わって、本当にライブが終わった後のような、高揚感というか、耳がきんきんする感じ。そんな気分にいるところをよぎるみたいに、コマーシャルがばっと入る。すると、うわーっとなりますよね。

−− 実は、「詰合」買ったんです。個人的に20年ぶりぐらいですね、アニメの音楽を買ったのは。もうここまでひっかけられたら、買わないわけにはいかないだろうと。いしたにさんみたく、チャットやりながら見ていたらネットに繋がっているから、そのままオンラインショップで買っちゃえ! みたいな感じでしょうね。

いしたに そうそう。

−− こうした遊びというか、いろいろな仕掛けは音楽プロデューサーの斎藤さんが?

斎藤 発端は、現場でアニメのプロデューサーの方と、何となく話していたんですね。

井上 「ハルヒ」の原作・アニメには、音楽とすごくリンクする話があるんですよ、というのをね。

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 「ユーザーの顔が見えない」と言われる中で、自分自身の思い入れを武器に成果を上げている人々がいる。いわく言い難い個人の熱意(X)を、ビジネスとして組み立て、市場にいる買い手に思いの丈を伝える(EXPRESS)工夫を、本人へのインタビューを中心に、所属する組織や、市場規模の大小に関わらず紹介する。

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