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【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 X

ランティスのプロデューサーにインタビュー その5

2006年11月8日(水)

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涼宮ハルヒの場合 X

「売れても恥ずかしくないもの」を作る

-- 元々ミュージシャンだった井上社長が、どういった経緯でランティスを作ったんですか。

井上 僕、デビューして29年目なんですよ。16歳のときに音楽の世界に入って。LAZY(レイジー)というバンドだったんですけれども。

-- デビューが、1977年ですか。

井上 高校をやめて上京したんですが、20歳ぐらいにそのバンドが解散しちゃうと、あとは「ご勝手に」という状況で。これはちょっと大阪にもなかなか帰りにくいなという。学校も辞めてきたし、あとは東京で飯を食っていくしかないかなと思って、それからバンド活動をずっと中心にやっていたんです。

 やっているときに思ったのが、プロダクションの社長とか、レコード会社の人に、来いよとスカウトされて来たけれど、20歳ぐらいに「お疲れさん」で。そんなものなのだなと思う一方で、人を扱ってやっていくのって相当大変なんだなと思ったんですよ。そんな時に、アニメの仕事に出会ったんです。

松村 このランティスをつくる前の会社は、やっぱりアニメーションの会社、ゲームのアニメーションとかを出している会社で、そこは1回失敗していますからね。それでそこがクローズするので、じゃあ、やり残したことがあるから、いっしょにやろうよということで、立ち上げた会社なんですよ。

いしたに 最初は社員として、アニメーションの音楽を扱う会社にいらっしゃった。

井上 そこでもディレクターをやっていました、社員としてですね。

 やっていくうちに、歌い手さんや声優さんが増えてくると、大事になってくるわけですよ。やっぱりこの子も、この子も大切だ、と。結局は、(自分が歌っていた時代と)同じことを自分が繰り返しているんですよね。だからそういう面ではプレッシャーも感じながら、自分の今までの経験も生かしながら、うちでやっていただいている人たちが傷つかないように、アニメと一緒に、ゲームと一緒に、成長していければと。

-- その会社がポシャった後、ご自身が社長になってつくられたということですね。

井上 そうです、それは一緒にいたメンバー4人で。

-- 前の会社は何ていうんですか。

井上 エアーズといいまして、アミューズとバンダイがつくった会社なんです。

-- こちらには今年、バンダイビジュアルさんの資本が入ったんですよね。

井上 ええ、5月から50.6%がバンダイビジュアルさんです。

-- 残りは。

井上 残りは私と、先ほどの伊藤で。

-- 不遜な言い方かもしれませんが、アニメーションの音楽って、作品によってこれぐらいはいけるという計算がひょっとしたら立ちやすくないですか。だとしたらそれが、作品をどんどん作ったり、チャレンジングなことをするために絶好の環境ですよね。そんなことはないですか。

井上 いや、それはあるかと。だいたいの年間の売り上げは、これぐらいができる規模ができたなとか、そういう見通しは立てられますね。例えば25億円ぐらいまではだいたいキープできるなとか、ちょっと経営者的な言い方をしていますけれども、そうするとだいたい、我々の仕事のスタイルと、利益とのバランスが取れていくと思うんです。1部上場企業さんと一緒になる前は、儲かったお金をどういうふうにアーティストたちにつぎ込んでいこうかなという感じだったんですよね、これからもその体制は変わらずに、売り上げを伸ばしていきたいと思っています。

ランティス 松村起代子取締役
ランティス 松村起代子取締役

松村 そういえばいつも井上と伊藤はですね、「売れても恥ずかしくないものを作りなさいよ」って必ず言うんですよ。

-- 売れても恥ずかしくない、ですか。

松村 「ハルヒ」だから集中して作った、というよりは、常に売れても恥ずかしくないように、と言われ続けてきたんです。

井上 売れたときって恥ずかしいものは、一番ダメージがでかいじゃないですか(笑)。

悪乗りを許し、武器にする方法

いしたに そういう思い込みとか、熱意とかいうものって、やっぱり分かる人は分かる。しかもそこにネットが出てきたので、「ここが面白い」「ここを見てやれ、聞いてやれ」ということを、見ず知らずの人が教えてくれるんですよね。逆に、話題になっても恥ずかしい点があると「なんだこれ」と、突っ込んでくる人も出てくるでしょうね。

井上 手を抜くと、すぐ見抜かれて広まってしまう。

-- クチコミとかバズマーケティングとかって、最近はやり言葉になって、いろいろなところでも言われるんですけれども、本来はモノや作品自体が持っている要素そのものが人に語らせて、勝手に転がり出すものだと。その例を「ハルヒ」に感じてると思うんですよ。

 そのための要素を、アニメは京都アニメーション、音楽はランティスさんが作り込んでいらっしゃった。お互いにどこか通じ合う会社組織同士、社員同士だったから、もしかしたら1+1じゃなくて、2の何乗みたいな感じになったような、今日のお話を聞いているとそんなイメージがあります。外野の勝手な印象ですが。

斎藤 いい意味でみんな悪乗りをしていたんですね、「ハルヒ」で。

いしたに 明らかに悪乗りしていますよね(笑)。

斎藤 プロデューサーさんから、「ハルヒ」はそういう現場なのでよろしくお願いしますと、常々言われてはいたんですね。

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「【ヒットの“共犯者”に聞く】
涼宮ハルヒの場合 X」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師