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【わかるかも中国人】(9)
革命戦士からポップアートへ

上海が彫刻で埋め尽くされる日、人民は「くすくす笑う」

  • 中村 正人

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2006年11月13日(月)

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 最近、上海の街中で意表をついた野外彫刻によく出くわす。中国全土で見かけるおなじみの毛沢東像とは似ても似つかぬ巨大オブジェだ。例えば、再開発に明け暮れる殺伐とした市街地に突如として現れるポップアート作品。それは市政府の掲げる「文化都市」建設ビジョンの具現化なのだろうか。

 上海市西部の古北地区にある、話題の野外彫刻を訪ねた。

これが上海の「花樹」。横浜みなとみらいに姉妹作品の「フルーツツリー」がある

 タクシーで延安西路を虹橋空港方面に向かう。緑の芝生に囲まれた公園の真ん中に、巨大な毒キノコのような彫刻が見えた。赤白黄色にピンク、オレンジと派手に染められた花々がぎっしり咲いている。その原色を塗り重ねた色彩は、周囲の景観を絵空事のように異化して見せるポップな躍動感にあふれてもいる。

 「いったいこれは?」。思わず、初老の運転手に尋ねると、彼は目を細め、戸惑うような照れ笑いをする。なぜこんなものが作られたのか、彼にもよく分からないようだった。

 高さ16メートルというその巨大彫刻は、「フラワーツリー(花樹)」と呼ばれる。今年の春、延虹緑地公園内に造られた。作者は、1961年韓国ソウル生まれのチェ・ジョンファ(雀正化)。カラフルで人の目を引く作品を発表し続けてきたポップアーティストだ。日本でも数点のパブリックアート(野外彫刻のように公共空間に置かれる作品)を残しているが、上海では初のお目見えだ。

なぜ上海は「彫刻」がお気に召したのか

 チェ・ジョンファは2005年4月に上海市政府が国内外で募集した彫刻家42人の中から選ばれた4人のうちのひとりで、作品「花樹」は「都市の顔として調和と繁栄を表現した」と評価された。何より「政治的な色彩がなく、新しい生活を象徴している」ところが入選の理由だという。

 このところ上海では、あちらこちらで野外彫刻の設置プロジェクトが持ち上がっている。いったいどうしたというのだろうか。そもそもなぜ彫刻なのか。その理由が知りたくて、昨年11月淮海西路にオープンした上海城市彫塑芸術センターへと向かった。

治安悪化も指摘されていた地区を再生した上海城市彫塑芸術センター

 芸術センターは、上海市都市計画局の指導のもと、彫塑作品の展示と創作教育のために作られた公共施設である。1950年代築の国営鉄鋼工場跡を改装した巨大な建造物内には、かつて鉄鋼を冷却したプールや機器類も一部残っており、起伏に富んだドラマチックな空間を展示スペースとして転用している。吹き抜けの天井の高い館内に、無数の彫刻作品が置かれている。

 成り立ちは工業跡地を利用した「莫干山路50号」に似ているが、規模がまったく違う。2万平方メートルもの敷地内に5千平方メートル以上の展示面積だという。オープン後も建設は続けられており、芸術センターの周辺は飲食店など商業施設としても使われる予定だ。

「上海はNYを目指し、パブリックアートを広める」

 都市計画局は、設立の目的を、「ニューヨークやロンドン、パリのような国際都市を目指す上海はパブリックアートを広め、社会主義精神文明を発展させるため」「芸術の開放性や国際性、公益性、対話性のプラットフォームにすること」としている。

 開館記念パーティーも盛大に行われ、オープン企画のタイトルは「彫塑百年」。20世紀初頭から現代に至る中国の著名な彫刻家や若手の作品までが計128点、一挙に集められた。伝統的な石像や銅像もあれば、樹脂を素材にしたポップアート風のものもあった。

 再開発事業に資金を出したのは市政府ではない。政府は大号令をかけるだけで、民間から資金を集め、運営も民間にやらせる方式だという。ずいぶんムシのいい話に思えるが、この国の政府のやり方はたいていそうだ。

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