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組織の限界と理想をどう両立させるか

~ユニセフ タジキスタン代表 杢尾雪絵~

  • 茂木 健一郎

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2006年11月29日(水)

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 理想というのは誰にでもある。しかし現実としてできることの間の兼ね合いは、いつも難しい問題だ。今回、ユニセフ・タジキスタン代表の杢尾雪絵さんの話をうかがって、改めてそれを認識した。杢尾さんが向き合う課題は重く、深刻だ。国家や戦争がからむ、個人の力ではどうすることもできない問題だ。

 戦争がなく、すべての子供が十分な栄養や教育、愛情を受けられる世界が理想だけれども、現実はそうではない。杢尾さんは、ユニセフという国連機関の中で働く一個人だが、そこでの活動は、政府機関に対して、強制力を持たない。要請しかできない。

 通常、自分の理想と現実の手段とのギャップがあると、安易に現実の方に妥協してしまうことが多い。しかし杢尾さんは、現実の範囲内で、徹底してベストを尽くしている。もちろん、個人としても善意を持って、一生懸命まい進されているのだけれども、同時に一国際公務員でもある。一国連機関の職員だ。当然、その職務の中でしか活動はできない。しかし、個人の熱意や力が無関係かというとそうではない。

 その間合いが、いろんな職業についても参考になる。つまり、組織の中に働く人間にとって、自分の権限であるとか、そもそもその組織の社会の中でも立ち位置だとか、与えられた場所によって受ける限定がある。杢尾さんその折り合いのつけ方が絶妙だと感じた。

 例えば日本では公務員というのは、パブリックセクター(公的企業)の人を十把ひとからげにして、「どうせ公務員だからダメ」だとか、民間に比べて甘い、というような言い方をしやすい。しかし公務員の立場からすると、自分たちの組織の権限や、法律上の強制力を持ってできることとできないことがあるからしょうがないんだという言い方をすると思う。

 組織において自分の権限が限定されている中で、どうベストを尽くせるか。その問題は、すごく難しいけれど、個人の熱意で理想を追い求めていくことで、変えられることがあるんだなと、杢尾さんの仕事を見ていて思った。しかもタジキスタンという、文化が違う、状況も非常に良くないところで、実現している。

 目の前の可愛そうな子供を助けてあげたいという、個人としての気持ちがある。しかし、自分のやるべきことは、長い目で見て子供たちをとりまく環境が良くなるような制度などを整備していくことである。

 こうした役割は、まさにパブリックセクターの人が持っている役割だ。それをどうやって人類の理想や公共の福祉などを実現に近づけていくか。そればただナイーブに熱意とか善意に基づいて行動していくだけじゃだめだ。もっと大人の判断が必要だ。杢尾さんの姿勢は、大人の態度でありながら、理想を失っていない。それはなかなか両立しないことだ。

心にいつも青空を~ユニセフ タジキスタン代表 杢尾雪絵~
NHKの番組サイトへ

NHK総合テレビ
11月30日(木)午後10:00~11:00
・再放送
 総合 毎週月曜 午後4:05~4:49
 BS2  毎週水曜 午後5:15~5:59
 総合 毎週木曜 午前1:10~1:54
     (水曜深夜)
番組公式サイト
本・CD・DVD紹介サイト

 

 中央アジア・タジキスタン。この地で子どもの命と健康を守るため、奔走する日本人女性がいる。ユニセフ(国連児童基金)タジキスタン事務所代表・杢尾雪絵(もくお ゆきえ 45歳)。国連機関の現地トップとして活躍する、数少ない日本人である。

 杢尾の仕事は、政府の各機関や地方の行政などとの交渉の連続だ。内戦が終結し、経済成長が始まったタジキスタンだが、まだまだ子どもの健康に対する意識は高くない。予算の確保や行政の支援を思うように得られず、時には絶望的な状況におかれることもある。

 今、杢尾に、最大の危機が訪れている。根幹の事業の一つ、「予防接種」が大口の支援を失い、最悪の場合、来年からの予防接種に穴が開く可能性が出てきたのだ。これ以上は大幅に負担金を増やせないというタジキスタン政府を説得し、それをテコに支援の輪を広げていこうと試みる杢尾は、ある作戦を実行に移すことにした。

 激動の地で困難な仕事を続ける杢尾の、知られざる交渉の舞台裏に密着する。


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