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【わかるかも中国人】(11)
華僑系セレブ娘が仕掛ける「社交界」

ファッションビル化する上海の歴史的建造物

  • 中村 正人

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2006年11月28日(火)

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 国際美術展を主催する上海市政府が目指すのは、「Better City, Better Life」(上海万博のテーマ)。たとえ汚職疑惑で上海市トップが解任されようとも、ハコモノ主義の路線は変わりようがない。それが大半の中国人の見方である。

 上がそう決めたからには、その路線に沿って物事を進めるほかない。この国の民間企業はまだまだ政府の強い指導の下に置かれているのだが、アート事業の「中身」に関しては意外にゆるい感がある。実際、「文化を理解する観客の育成」などという大義名分とは関係ないところで、現代アートとビジネスをめぐる面白い動きが出てきている。

外灘(Bund)がブランドショップエリアに生まれ変わる

 その一例の舞台が上海の外灘(ワイタン・Bund)だ。黄浦江西岸沿いにあるこの街は、20世紀初頭の東アジアを代表する国際都市の表玄関だった。荘厳な西洋建築が並ぶ歴史保護地区という位置づけで、日本の観光ガイドブックなどでも紹介されているエリアである。ところが近年の外灘は、周辺の猛烈な開発スピードから取り残され、荘厳というよりも貧相なオールドタウンと化してしまった。老朽化した石造建築群は、主に金融機関がオフィスビルとして使用していた。

外灘3号のレストランから見る外灘の夜景。ビルの屋上には「五星紅旗(中国国旗)」を掲げることが義務付けられている

 こうしたなか、民間による外灘復興の動きが出てきたのである。ブランドショップの入ったファッションビルに生まれ変わろうとしているのだ。特に話題を集めたのは、2004年1月にオープンした「外灘3号(Three on the Bund)」だ。

 1916年に、当時の上海で名を馳せていた設計事務所パーマー&ターナーが、保険会社のユニオン・アシュアランス・カンパニーズビルとして造った6階建てネオクラシック様式の1棟。新中国では上海市建築設計研究院として使われた。

 そのビルの大規模な改装を手がけたのは、日本国内の外資系ホテルの進出ラッシュでよく名前を耳にする、アメリカのポストモダン建築家マイケル・グレイブス。外観のデザインは当時のままだが、内部に巨大なアトリウムを設け、ブランドショップやスパをテナントに入れ、外灘を一望できる屋上レストランで話題を呼んだ。ちなみに1階に出店しているのはアルマーニである。

外灘3号は1916年に建てられた保険会社のビルだった

 そして同ビル3階には、「Shanghai Gallery of Art(SGA)」という現代アートギャラリーが入っている。外灘は開発から取り残されたエリアとはいえ、不動産価値からしたら1等地である。いくらアートブームとはいえ、画廊で採算がとれるのかしら? と他人事ながら心配になる。

 実は、SGAのオーナーである林美金女史は、中国でトップシェアを占めるシンガポール系タイヤメーカー・佳通タイヤ有限公司の経営陣のひとりなのだ。年代物のビルを丸ごと購入し、オシャレな外灘3号にリニューアルさせたのも同社だ。

 佳通タイヤ有限公司は、金融や不動産、百貨店、旅行業、製造業など、世界に80社ものグループ企業を持つシンガポール系多国籍企業グループ・佳通集団の傘下にある。華僑の大資本が、中国国内で立ち上げた会社である。

創業者の娘たちが変革の舵を取る

 1993年、福州に第1号のタイヤ工場を建設。その後は中国各地にタイヤ工場を建設し、98年に現地法人を設立。その名をあげたのは、2003年に外資系企業として初めて中国の国有法人株を競売で取得したことだった(買収先は黒龍江省の多額の負債を抱えた国営企業・樺林タイヤ株式有限公司)。先行きのない国営企業の救済を買って出た。

 本業のタイヤ生産量では、すでに国内トップクラスのメーカーである。でも、自動車産業のハイエンドの商品領域になると、ミシュランやブリヂストンといった外資メーカーにかなわない。今後の課題は、国際的に通じるブランドを確立することだといわれる。

 佳通集団の創業者・林徳祥は堅実な実業家として知られている。林徳祥にはふたりの娘がおり、名前は美風と美金。いわばセレブ姉妹である。父は娘らに佳通タイヤ有限公司の発行株式の大半を譲渡した。妹の美金には経営にも参画させた。その彼女がいま、古びた金融街・外灘をブランド&カルチャーストリートに変えようというわけだ。

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