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【ヒットの“共犯者”に聞く】
映画「時かけ」の場合 III

角川書店・マッドハウスプロデューサーインタビュー その3

2006年12月8日(金)

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映画「時かけ」の場合 III

-- 映画「時をかける少女(時かけ)」の、実際の制作はどんなスケジュールだったのですか。

渡邊 映画のプロデューサーの経験は全くなかったので、手探りでしたが、とにかくまず、監督と内容をどうするのか、話をしました。

 2004年の7月、アニメのイベントで、彼がドイツに行くのに同行してね。その2カ月後の9月には、脚本会議がスタート。脚本家の奥寺佐渡子さんに加わってもらって、監督と齋藤君と僕の4人で、毎週、毎週、ディスカッション。みんなで話し合って作り込んでいったわけですよ。それを9カ月続けました。

「ヒロインを変えよう!」で正月合宿

-- 9か月。ディスカッションだけで。

角川書店 製作プロデューサー 渡邊隆史氏
角川書店 製作プロデューサー 渡邊隆史氏

渡邊 その間にはお正月(2005年1月)があって、みんなで一緒に合宿(笑)。いや、年末に1回、しっとりしたいい印象のシナリオが出来上がったんですけど、「やっぱりちがうんじゃないか、もっと元気な方がいいんじゃないか」って細田監督が言い出して。それじゃ、直しましょうということで。それで合宿に。

齋藤 僕なんかそれに参加するために、年末から海外に行っていたのを急遽帰ってきましたからね(笑)。1月1日の夜8時ぐらいにフランクフルトを発って、2日に帰国、速攻、合宿所に直行みたいな。で、紺野真琴が主人公になったプロットが2月にできました。

渡邊 さらに連休、2005年5月の頃の最後の仕上げも、やっぱりホテルで缶詰めになって。そういう合宿をして脚本をまとめていきました。

-- シナリオにそれだけ時間をかけたと。アニメや映画のディスカッションは、おおむね1か月前後って話も聞きますが。

齊藤 アニメの場合、共同作業が多いのですが、脚本に関しては2週間ぐらい合宿でコンセプトや脚本をまとめるといったケースもあったりはします。ただ、ここまで出来た作品というのは、なかなか希有なケースだなと。

 シナリオの開発にはいろいろな方法があると思うんですよ。ライターさんにお任せする場合もあるし、監督が書くこともある。だけど、今回は、関係者全員が、「この作品に必要な時代性は何なのか」、みたいなことを、一から組み立てていったわけです。だからこれだけ時間がかかった。でも、これは必要な時間と作業だったんです。

-- 9か月間、毎週打ち合わせとおっしゃいましたけど、本当に?

9カ月毎週末返上、休みナシ

渡邉 週2回、土日です。なぜ土日かというと、2004年夏に脚本作りがスタートしたときには、細田は実はまだ前作の作業が残っていた。ということは、別の仕事をすることができるのは休日じゃないですか。土日にこちらの仕事をして、平日になると…

齊藤 別の現場に帰っていく。で、また次の土日は、マッドハウスでずっと。

渡邊 みんな休みナシですよ。齋藤君ももう1本の劇場作品と諸々の企画を、並行していたし。僕も、平日は出版の仕事をしていましたから。まぁでも、そうしないと終わらなかったね。それこそ、制作の現場を取り仕切る齋藤君は、たぶん一番いらいらしたんじゃないかな。

齊藤 まだシナリオが…。そろそろリミットだよ…と(笑)。

渡邊 だって、常にスケジュールの引き直しから、彼の仕事が始まるんだからね。最初の予定では、年末には作画に入ることになっていたんですけど。

-- しかし、現場というのはそこまで融通が利くものなんですか。シナリオ完成が伸びたらその間、制作スタッフを押さえているわけですよね。お金だって、無駄にかかる。

齊藤 いや、常に同時並行ですね。待ってもらいつつ、お願いをしつつ。離れていってしまう人を指をくわえて見ているわけにもいかないので。追いかけると同時に、常に状況を読みつつ、保険をかけつつ、確実に必要なときに作業に入れる形を作っておいて、機が熟したら一気に、そのまま制作になだれ込む…という。

渡邉 それはもう、大変なことですよ。

齊藤 でも何度も言うようですが、最初から、腰を据えて納得がいくまで、細田監督と一緒に行きましょうというスタンスでやっていましたからね。

波多野 この際、いろいろ伺ってしまいますが、そうして並んだスタッフもすごいですね。脚本の奥寺(佐渡子)さんは実写の「学校の怪談」(平山秀幸監督)の脚本を書かれた方で、アニメは初めてなんですよね。美術監督の山本二三さんは、スタジオジブリの「もののけ姫」や「火垂るの墓」などの作品で美術監督を手がけられてた方ですし。

渡邊 いやぁ、あの人、この人と言うけれど、要するに細田監督なんだよね。

齊藤 監督がイメージする絵作りや芝居、クオリティに対する要求に応え得る人を出来る限り粘りに粘って探したり。

渡邉 細田監督と仕事がしたい、と言って来て頂ける方もいたり。

「拉致するしかないな…」

マッドハウス 制作プロデューサー 齋藤優一郎氏
マッドハウス 制作プロデューサー 齋藤優一郎氏

齋藤 細田監督が必要とする人材を、どう予算とスケジュールをすり合わせて、お願いしていくかということなんですが、そうは言っても、スケジュールが合わなかったり、それぞれ皆さんの事情もありますよね。

 奥寺さんに関しては、細田監督が以前、奥寺さんの脚本を拝見する機会があって、「この人はすごくいい、特に会話が小気味いい。現代の若者がしゃべるようなことを、ナチュラルに書くことができる」とか、沢山、沢山すっごいんですよ!と。是非、奥寺さんとやらせて頂ければという話になったんですね。

渡邊 キャラクターデザインの貞本義行さんも、細田のご指名です。だったんですけど、貞本さんは角川的には「新世紀エヴァンゲリオン」(角川書店の「少年エース」連載)の漫画を描いてもらわなきゃいけない。(彼が所属する)ガイナックスにも無理だと言われたんですが、そこを何とかお願いして。どうしても10日間だけ貸してと、彼のスケジュールを空けてもらって。10日間で集中して仕事をするために、まぁ、拉致するしかないなという感じで。

齋藤 言葉が悪いですけど…。

渡邉 それじゃ、監禁して。

--(笑)大丈夫です、同じぐらい悪いですから。

齋藤 ホテルの部屋をとっておいて、「貞本さん、××時に打ち合わせに来てください」と呼び出して、「お食事でもしながら、だから今日は、ちょっと場所を変えて」と。それで、行ったきり1週間帰ってこない、と…。

渡邉 今から思えば冷や汗が出ます。

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「【ヒットの“共犯者”に聞く】
映画「時かけ」の場合 III」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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