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取ろう取ろうは取られのもと 
敗戦から見いだしたビジネスの摂理

三井物産・鈴木大山の場合(その2)

  • 高橋 史忠

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2006年12月8日(金)

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 囲碁に「取ろう取ろうは取られのもと」という格言がある。

 囲碁は陣取りゲーム。自分の碁石を使って盤面の領域を囲み、いかに相手よりも領地を広げるかを競う。その時、単に領地を囲うだけでなく、相手の碁石の周りを自分の石で囲んで石を取り合う争いがある。相手の石を取り、自分の領地を広げるには戦略が必要だ。自分がこう打ったら、相手はどう応戦してくるか。それを考えるのが“読み”である。

囲碁を打つ鈴木大山氏。ビジネスでも囲碁から学ぶことは多い (写真:山下 裕之)

 だが、気分よく攻めている時には、自分の戦略の欠陥は見えなくなるもの。相手の石を取ろう取ろうと思うほどに視野が狭くなり、自分のものになるはずだった土地を逆に召し上げられてしまう。「取ろう取ろうは取られのもと」は、こうした状況を端的に表す格言だ。

 これはビジネスにも共通点があるだろう。自分の立てた戦略に陶酔し前がかりになりすぎると、ライバル企業の応手、顧客のニーズに考えが至らなくなってしまう。

 大学を卒業し、三井物産に入社した鈴木大山(だいせん)がそうした体験をしたのは、IT(情報技術)バブル真っ盛りの米国シリコンバレーに赴任した時のこと。そこで得た教訓は今でも忘れない。現地の企業と進めていた日本進出に関連した商談で、鈴木は話し合いの雰囲気から、てっきりその企業が三井物産と組んでくれるものと思い込んだ。しかし、いざ提携を打診してみると、その企業からは「もうダイセンの力はいらない。自分たちで日本法人をつくるから」と、予想外の回答が返ってきた。

 囲碁もビジネスも相手があって初めて成立する。ライバルであろうと、顧客であろうと、相手の求めることに思いを巡らし、先を読む経験で成長できるのだ。

ようやく探し当てた隠れていた自分

鈴木氏に囲碁を教えたプロ棋士の梅沢由香里5段。今回、鈴木氏は梅沢5段との師弟対決に挑んだ (写真:山下 裕之)

梅沢プロの紹介映像はこちら

対局の様子は映像でお楽しみいただけます。映像はこちら↓
「取ろう取ろうは取られのもとの巻」

 鈴木が商社への就職を志したきっかけは、就職活動をする学生向けの自己啓発セミナーへの参加だった。大学時代、自分が何をしたらいいのか分からず、人知れず悩んでいた彼は、藁にもすがる思いでセミナーの門を叩いた。そこで待っていた自己を見つめ直す作業から浮かんできたのは「人」「海外」「モノを売ること」である。

 とにかく人と話すのが好き。小学生の時から上級生に交じって、日が暮れるまで白球を追った。野球が好きなだけでなく、違う年齢の友達やコーチとの会話が楽しかったからだ。そして、父親の仕事の関係で幼い頃に暮らした米国で、自然と海外への憧れが醸成された。モノを売ることが好きだと気がついたのは大学生になってから。イトーヨーカドーでバイトの身ながら惣菜売り場を任され、自分のアイデア一つで惣菜の売れ行きが変わることに一喜一憂する商売の醍醐味を知った。

 いろいろな人と話せて、海外に行けて、商売ができる。商社を選んだ理由は、いかにも就職活動中の学生が考えそうな安易なもの。だが、やりたいことが見つからず悶々と過ごしていた大学生の鈴木にとって、自分の知らない自分を見つける作業は目からうろこが落ちる思いだったのだろう。まずは商社で経験を積み、いつかは独立してみせる。独立志向の強い鈴木はそんな思いを抱いて、三井物産に入った。

 「僕は運がいいんですよ。本当に。仕事や異動の節目節目で助言してくれる先輩や上司にも恵まれた。給料をもらいながら研修させてもらっているようなもので、これでいいのかなと思うほど」と鈴木は新米社員の頃を振り返る。

とんとん拍子の先に潜む陥穽

シリコンバレーでの会食

 入社後も、希望通りに自分の好きなことに取り組ませてもらえた。最初は、会社経営に必要な知識を得るために自ら希望して経理部門に配属。予定通りに2年間、経理部門で勉強した後に、入社前からの本命である営業部門への異動もかなった。

 入社5年目の1999年には、米国シリコンバレーで熱望していた海外駐在に初めて挑戦した。鈴木の役回りは、新しい技術を開発する現地のベンチャー企業を日本に紹介し、日本進出の橋渡しをすること。仕事自体は、日本にいた頃から米国駐在の同僚を手伝っていたこともあり、経験済みのはずだった。しかし、とんとん拍子に事が進んでいる時ほど、先に待ち受ける落とし穴は大きい。シリコンバレーでの体験で、日本では誰かが敷いたレールの上を走っていただけだと思い知らされることになった。

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