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日付の入らない夢を見る人(その8)

ワタミ社長・渡邉美樹 ―― 24歳の誓い

  • 高橋 三千綱

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2006年12月15日(金)

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 渡邊美樹さんは、24歳の4月1日の日記に、ふたつの誓いを書いている。

 そのひとつは、外食産業の会社を興したら、その会社を10年で上場させることだった。

 「これからの外食産業は、どんどん淘汰の時代に入っていくのが分かっていた。資本を厚くしない限り、その戦いには勝てないと思っていた」

 24歳で独立した美樹さんは、12年後にワタミフードサービス株式会社を店頭登録させ、その2年後に東証2部上場、さらに2年後の2000年3月には、1部上場させた。

 もうひとつの誓いは、

 「産業界で外食のトップに立ったら、その資金で教育にたずさわろうと書いてます。日本の教育を変えるんだ、と学生のときから強く思ってました」

渡邉 美樹氏
渡邉 美樹(わたなべ・みき)氏

1959年神奈川県生まれ。明治大学商学部を卒業した後、経理会社に半年間勤務。その後、佐川急便のセールスドライバーとして働き、独立資金を貯める。84年、渡美商事を設立。86年、ワタミを設立し、翌年、ワタミフードサービスに社名変更。96年に店頭上場し、2000年に東証1部上場。2005年春、ワタミに社名変更。

 「横浜会」で700人の孤児たちと触れ合ったとき、彼らから様々な感動を与えられた。盲目の子が空に舞い上がった風船を耳で追いかける姿。同じように目の不自由な子が、転んでも決して泣かない気力に胸を打たれた。同時に、教育の大切さを知った。

 「教育を通して、人を幸せにできるんだと知りました」

 その思いは外国にも向けられた。ある団体を通して、発展途上国の子供たちを援助するための資金を出していたのだが、そのお金の相当部分が、日本国内の事務費に使われていることを知って、それなら自分で直接相手の国に届けようと思った。

 そこはカンボジアだった。最初に訪れたとき、学校からガタガタという音が響いてきた。なんの音だろうと不思議に思った美樹さんは、何気なく教室をのぞいてみて、びっくりした。

 音は、机から発せられていたのである。先生の授業を、もっと間近で聞こうとする子供たちが、膝で机を持ち上げてしまうため、ガタガタと音が出るのだ。先生を食い入るようにみつめる生徒の気迫。勉強できる喜びに満ち溢れた顔。

 「机が動く授業」を目の当たりにした美樹さんは、鳥肌をたてて震えた。

 それらの子供たちは、みんな貧しかった。水くみをし、家の掃除、3頭の牛の世話をしてからようやく学校にくる女の子。泥の中で網をすくって小魚を捕り、10円ほどの稼ぎをして家族に差し出している男の子。そういう子たちが、目を輝かせて勉強している。

 偏差値教育に侵された、日本の子供たちが見失ってしまった大切なものが、カンボジアの子供たちにはあった。

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