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大石は死なず 
仲間との結びつきで成長する

三井物産・鈴木大山の場合(最終回)

  • 高橋 史忠

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2006年12月22日(金)

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 「大石は死なず」――。

 死ぬ、死なないなどと、政治家か侍のように何やら物騒な響きの言葉だが、れっきとした囲碁の格言だ。「大石」は、そのまま“おおいし”と読む。囲碁では、碁石の一つひとつはとても頼りない小さな存在だ。自分の石の四方を敵の石に取り囲まれれば“死んだ状態”になり、相手に召し上げられたうえに、その石が置かれていた領域は相手の領地になってしまう。

「囲碁は人生の縮図。自らを律するヒントが得られる」と話す鈴木大山氏 (写真:山下 裕之)

 しかし、碁盤上で自分の石同士がつながりを持って大きな石に成長すると、頼もしい存在に一変する。石の存在感は増し、自分の領地を囲む城壁となって相手からの攻撃にも強くなる。石のつながりを作り上げる戦略を練ることが囲碁というゲームの基本であり、難しさであり、本質と言えるだろう。

 碁石を人、盤面をビジネス領域に言い換えれば、これはそのままビジネスや日常生活にも通じるのではないだろうか。一人ひとりの力量では、とても実現できないことでも、同じ目標に向かった多くの人間の力を結集すれば突破できる。

 「囲碁を始めて、このゲームは人生の縮図だと感心しています。囲碁ではよく言われることですが、小さな碁盤の中には宇宙法則がある。戦いには、自分の性格がもろに出る。負ける経験から、自らを律するヒントを得ることが多いんです」

 こう話す三井物産の商社マン、鈴木大山(だいせん)は最近、趣味の囲碁での活動で人と人とのつながりが生む不思議な体験をした。

仲間を巻き込むことの大切さ

 鈴木がプロ棋士の梅沢由香里と一緒に立ち上げた「IGO AMIGO(イゴアミーゴ)」。高齢者と子供ばかりが目立つ囲碁の世界で、手薄な20~30代の若者に囲碁の面白さを伝えることを目指す普及団体だ。講習会など、東京を中心に1年半の活動を続けるうちに、興味深いことが起きた。大阪で「ままことルンルン囲碁仲間」、名古屋で「NYAGO(ニャゴ)」など、同時多発的に同じ志を持った普及団体が立ち上がったのだ。

イゴアミーゴのワークショップで師匠の梅沢由香里プロと。一番左が鈴木氏 

 「100匹目のサル現象」という有名な作り話がある。

 宮崎県の辛島に生息する1匹のニホンザルが海水でイモを洗って食べた。それを見た周囲のサルが真似し始める。イモ洗いの行動は次第に広がり、100匹を超えると群れ全体に波及した。そればかりではない。さらに離れた場所のサルの群れでも同じ行動が見られるようになった。

 ある行動や考えが一定数を超えると、物理的に接触のないところにもそれが伝播するという例え話だ。これは、科学的な話でもなければ事実でもない。ライアル・ワトソンというアフリカの学者による全くの創作である。

 「大坂や名古屋での話を聞いて、もしかしたら100匹目のサルの話は本当かなと、仲間と話すことがあるんですよ」。鈴木は、壮大なフィクションを引き合いに出しながら、こう言って笑う。

 もちろん、鈴木らの思いが遠く離れた大阪や名古屋にテレパシーで伝わったわけではない。ネットやマスメディアでイゴアミーゴの活動が取り上げられたことに加え、若手不足という囲碁界共通の危機感が、若手を狙った同時発生的な普及団体の設立となって現れたということだろう。だが、この少し不思議な体験で鈴木は、人と人がつながる輪を広げていくことの大切さ、そして活動への手応えを感じ始めている。

 「あと5年、10年、イゴアミーゴの活動を頑張れば、囲碁がもっと身近になるだろうと思うんです。合コンで囲碁が趣味だということを隠さなくてもいいレベルにしたいなと・・・」。 (次のページに続く

 鈴木大山氏と梅沢由香里プロの師弟対決を映像でお届けする最終回。序盤、中盤と、戦いを有利に進めた鈴木氏。周りで観戦していた囲碁仲間は、冷静な鈴木の打ち回しに「おかしい」と首をひねる。

 「今回は、珍しく戦いに一貫性がありますね。緊張感があるからか、無理な手がない」

 終盤となり、静かに対局が進む。「接戦です」とひそひそ話す観戦者たち。表面上の静けさとは裏腹に局面は大きく動いている。そして迎えた終局。果たして――。

 梅沢由香里プロの紹介映像はこちらへどうぞ。

(写真:山下 裕之)

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